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近衛予備隊-144 [高校生バトル-57]

「そんな森林はそのまま放置なのですか?」
「対策を取っている所も有ればそうで無い所もと言う感じなのだけど、ひどい所は山の持ち主が不明になっていたり、所有者の高齢化で手入れがされなくなっていたりでね。
 遠江王国内の山林でも持ち主を特定し管理責任者を確認することが出来ず、法的な処理に時間が掛かった山があったのだけど、そんな状況に対して王家は森林を守りたいと宣言してね。
 山を手放したい人から買い取ったり、貰ったりしながら山林の管理会社を設立し、木材利用の可能性を探りつつ、自然公園としての整備も進めているの。」
「王家にはそれだけの財力が有るのですね。」
「それほどお金は掛かってないのよ。
 都会の土地と違って山林は安いし、日本国と違い遠江王国内の企業は木材利用促進に協力的でね。
 彼らは王国の皆さんに、数十年と言われている鉄筋コンクリートの寿命に対し、何百年も前に建てられた木造建築が今も健在なことや、固い素材の床より木製の床が心地よいことなどを思い出させてくれただけでなく、屋外で使うと耐久性に問題の有る木材でも、交換補修がし易ければ木材利用拡大に繋がると工夫してくれてね。」
「その結果が、木で装飾された建物と言うことなのですね。」
「ええ、今では装飾だけで無くコンクリートや鉄が使われていた所に、例え費用が余計に掛かっても木材を使う様になって来てるの。」
「どうしてそこまで?」
「山林を放置したままにしておくと綺麗だった山がどんどん荒れてしまい災害の原因となりかねないし、私達の王国を素敵な国にしたいと言う想いが強いのよ。
 皆で取り組んだことで規模が大きくなったら、思っていたより初期投資の回収が早くて、取り組みを周辺市町村にも広げつつ有るの。」
「コスト面は良く分かりませんが…。」
「木材消費の規模を拡大することに成功したと言えば良いかしら。
 木に代わる素材として使われて来たプラスチック製品を木製に戻すことで違った価値観を生み出したりとかしてね。」
「言われてみれば、このレストランもセンスの良い木製品ばかりです。」
「大量生産出来ないから割高なのだけど、その製造には所謂社会的弱者も携わっているの。
 木を使うことで森を守り弱者を支えつつ、暖か味の有る室内空間を演出してると言った所かしら。」
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