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近衛予備隊-143 [高校生バトル-57]

「詩織、遠江王国と東京では建物の雰囲気が随分違うと感じました。」
「シャルロットはどちらが好み?」
「遠江王国についたばかりで多くを見た訳では有りませんが、結衣に建物の装飾としても木が使われていると教えられ、注目していた限りでは断然遠江王国ですね、東京はコンクリートばかりで冷たい感じがしましたので。」
「それは遠江王国国民の多くが王家の提案に賛同して下さった結果でね、日本の伝統と文化を守りたいとの意思表示でも有るの。」
「花が多く植えられているのもですか?」
「それは新しい文化かな、花で一杯の街にしようと言う想いが広がったのは、ここに住む人達がより素敵な街にしようと考えてくれたからなの。
 木材を使おうと呼び掛けたのには、元々日本人が木と共に生きて来た背景が有ってね。
 日本はその国土の三分の二が森林と言うことも有って、昔の建物はほとんどが木造だったの。」
「木造と言っても自分達が住んでいたような粗末な物では無かったのですよね。」
「ええ、冬は寒いので昔から様々な工夫を凝らす必要が有ったわ。
 また、山で暮らしてた人達は限られた平地をほとんど田畑にし、傾斜地では建築資材用の木を植林しての林業、そして里山として人々に恵みを与えてくれる森と共存してたの。」
「共存ですか…。」
「人の手が入ることによって森のバランスが保たれもしてね。
 ただ長きに渡って人間の生活を支えてくれてた森も、人の生活様式が変わることによって人との距離が遠ざかってしまって。
 人は薪を必要としなくなったし、木材も安価な輸入木材におされたりして林業が衰退、それによって荒れた山が崩れたりして、人と森との関係が壊れて…。」
「村の森を整備することは防災面の価値も有ると聞きましたが…。」
「その通りなのだけど、日本人はお金にならないことに手間やお金を掛けたくないみたいでね。」
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