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近衛予備隊-129 [高校生バトル-55]

「人気者か、YouTubeチャンネルで伝えてるのは本当のことなのね。
 女性に人気なのは間違いないと思うのだけど、男性からも?」
「勿論です、村の改革はジョンが会社の幹部と村人の間に入って調整したからスムーズに進んで来たのだと皆が理解していますので。
 ジョンは当初から村人達に対して論理的に説明して来ましたが、それは間違っていませんでしたし英語の話せない村人にとって頼るしかない存在だったのです。
 会社側が用意した、どこの誰だか分からない通訳を信用する人はいませんでしたので。」
「今でも若いのに、それは二年以上前、村長になる前からのことでしょ。」
「ですが近衛予備隊での学習で理解し、近衛隊メンバーに助けられていましたから、決して自分だけの力では有りません。
 自分達の村はプリンセス詩織のお蔭で、世界的に見ても最も貧しい村の一つから抜け出せたのです。」
「君たちを見てるととてもそんな村だったとは思えないのだけどな。」
「武史、私達はジョンに引っ張られて変わったのです、ジョンはプリンセス達がいらっしゃる前から子ども達のリーダーだったのですよ。」
「そっか、今後はその辺りのこともYouTubeチャンネルで紹介して行って良いかもな。」
「詩織さまが絶対的な信頼を寄せる若きエリート、その人がどう育って来たのかに興味を持つ人は多いでしょうね、私もだけど。」
「どうでしょう、自分には分かりませんが、それより気になっているのは涼子が日本の社会を弱肉強食だと話したことです、武史、そんな感じなのですか?」
「う~ん、弱肉強食か…、競争社会で有ることは間違いないけどね、自分達の声優業界は憧れる人が多い割に、仕事として安定した生活を送れる人は少なくてね。
 声優に限らず良い収入を得ようと思ったら競争を勝ち抜かなくてはならないのさ。」
「ジョンの所ではどうなの?」
「そうですね…、町ではそうなのかも知れませんが…、村から町へ出稼ぎに行っても教育水準の差が有り始めから競争に負けているのかも知れません。
 自分は町へ行っても算数と英語が出来ればマシな生活が送れるとの助言を信じて、近衛予備隊に入隊する前から学習に取り組んでいたのですが。」
「様々な人が社会集団を形作っているのだから単純な話ではないのでしょうが、競争社会が行き過ぎて息苦しかったり、ごく一部の超富裕層の資産が世界全体の個人資産の多くを占めていると言う、今の人間社会には問題が有ると思うのよ。
 力の有るお金持ちの食い物にされてる人は少なからずいてね。
 そんな人達の生活を良くしようとしてるのが、詩織さまや遠江王家の人達なのだけど。」
「そうなんだ、自分はそう言う視点で見て無かったので良く分かってなかったな。」
「武史さん、年に十億円稼ぐ人がその内の二割を社会的弱者救済に充てたとして、その生活が大きく変わると思いますか?」
「う~ん、そんなには変わらないのかな。」
「普通のお金持ちは、弱者救済では無く人件費を削ってでも更に多く稼ごうとするのですが、遠江王家は、初めから弱者を救済する為には資金が必要だからと経済活動に取り組み、その株式資産を増やして来られたのです。
 もし、弱者救済を考えておられなかったら、その資産がどれぐらいまで増えていたかは想像出来ないレベルなのです。」
「そうでしたか、自分は不勉強でした。」
「武史、それでも自分達のYouTubeチャンネルを手伝って下さったことで、貧しかった村人の生活水準を上げる手助けをしたのですから、胸を張って下さい。」
「あ、有難う…。」
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