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近衛予備隊-125 [高校生バトル-55]

 遠江王国へ旅立つ日、見送りが盛大になったのは移住して来た人の中にお祭り好きな人が居たからに他ならない。
 彼は常にイベントのネタを探しているのか、ちょっとしたことでも人が集まる企画にして村を盛り上げて来てくれた。
 今日も俺達が村を離れた後には旅の無事を祈って大騒ぎする計画が立てられていて…、旅の無事と大騒ぎの関係を説明出来る人は居ないと思うのだが、そんなことを誰も気にすることなく飲んで騒いで店の売り上げに貢献してくれることだろう。
 必要なのは宴会の口実なのだ。
 それでも、移住して来た人が多く、大統領親衛隊や刑務所からの出所者もいる村が、何とか一つになれているのは彼の功績が大きいと思う。

「ジョン、随分大勢の人が集まったわね。」
「ええ、旅立ちがイベントになってしまいましたので。」
「カメラはどこの?」
「例によって、自分達の日本向けYouTubeチャンネルです。
 今回の旅行中、毎日更新で荒稼ぎすると映像スタッフが張り切っていますが、詩織には迷惑が掛からない様に注意すると話していましたので、気になることが有りましたら直ぐに教えて下さい。」
「大丈夫でしょう、どう、YouTubeチャンネルでは沢山稼げた?」
「はい、日本向けと言うのが正解だった様で、うちの部落は見違えるほど綺麗なりました。
 今後は、村に大きく貢献した人の家を建てる費用に充てていきますが、その第一号は、このイベントだけでなく村を盛り上げる様々なイベントを企画演出してくれている彼の家になります。」
「店の販売員からイベント部門のリーダーに昇格した人ね。」
「はい、彼には開発中の高級住宅街に住んで貰います。
 彼は住環境が良く成るのなら昇給は必要ないと話してくれ、詩織が話してくれた、足るを知る人なのですが、もし欲しい物が出来たらイベントで稼いで買うのだとか。」
「それが普通に出来てしまうだけの力が有るのね。」
「はい、イベントを通して雇用の拡大にも貢献してくれています。」
「それだけでなく、戒厳令以降は店の売り上げが下がると覚悟していたのだけど、度々行われるイベントが支えてくれ、売れ筋商品に変化が有ったものの全体の売り上げはそんなに変わることなく推移しているでしょ、彼にはボーナスを出さないとね。」
「彼からは日本のイベントを参考にしたいと言われましたので、同行するスタッフにお願いして有ります。」
「それなら私も彼の参考になりそうなのがないか考えてみるわ。」
「お願いします。」
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