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近衛予備隊-110 [高校生バトル-53]

 大統領は今後についての説明をした後、戒厳令の宣言を強調して話を締めくくる。
 俺は真剣な顔をして町へ行くと挨拶に来てくれた訓練生、今は大統領親衛隊となったであろう人達の顔を思い浮かべていた。
 彼らは今、困難な任務に就いていることだろう、そう考えると安全な場所でのんびりしている訳には行かない。
 まずは一緒にテレビを見ていた予備隊の幹部達と意見交換し、俺達に出来ることをしようとなった。
 大統領は暫く宮殿で生活することになっているので、宮殿で近衛隊メンバーと意見交換をするのはどうかとも思ったが、スティーブに電話を掛けたら予備隊幹部の意見も聞きたいとのこと、特に予定の無い八人が宮殿へ向かうことに。
 宮殿までの道は国軍の兵士が警備に当たっていたが、近衛隊の隊服を着ている俺を先頭に予備隊の隊服姿で整然と歩いてるからか、呼び止められることも無く宮殿まで行くことが出来た。
 スティーブが話を通しておいてくれたらしく、宮殿ではそのまま会議室へ行く様にと指示を受ける。
 少し意外だったのは、その場にプリンセス詩織もいたこと、まだ会議が始まると言う雰囲気でもなかったので…。

「詩織は今回の戒厳令について、ご存じだったのですか?」
「いいえ、今日逮捕された人達に知られない様、箝口令が敷かれていたとかで、近衛隊メンバーでは大統領の相談役として送り込んで有った一人が知ってるだけだったの。
 その一人の発案で今日の逮捕劇が演じられたそうだけどね。」
「各組織のトップを真っ先に逮捕なんて思ってもみませんでしたが、良い作戦だったと思います。」
「でも、国の重要な組織が全て崩壊しかねないでしょ?」
「警察や国軍の組織は一度崩壊させるしかないかもと、今は大統領親衛隊となった訓練生第一陣の人達と語り合った夜を思い出します。」
「現場の人はそんな風に組織の現状を捉えていたのね。
 問題は現場がどの程度混乱するかだけど…。」
「詩織はどう思います。」
「鍵を握るのはコンピューターシステムの導入に掛かってる気がしてるの。」
「何処に導入するのです?」
「国の組織全てにね、我が社が全てを請け負う代わりに資金面でかなりの借金を引き受けることになったわ。
 でも、大統領は刑務所などの施設もだけど、我が社が公的な事業に対して費用負担している部分は全て返済して行きたいと考えていてね。」
「それは返済されたら、詩織がそのままこの国に投資してくれる人だからではないですか?」
「かもね、でも以前の指導者なら考えもしなかったこと、だからそれで良いのよ。
 それよりインフレを進ませた時に貧困層の生活が崩壊しないかという問題が有るでしょ。」
「あっ、資金の流れが変わるから、それに伴って消費動向に変化が生じると…。」
「今まで不正な形で溜め込んでいたお金持ち達のお金が、低所得だった公務員に流れる様になれば、店の売れ筋商品も大きく変わると思わない?」
「戒厳令からの社会変化は単なる治安の問題だけで済みそうにないのですね。」
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