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近衛予備隊-108 [高校生バトル-53]

 大統領の到着に対して、今回はそれを歓迎する式典などの華やかな催しが行われないにも関わらずテレビ放送が有るのは、大統領が国民に向けてのメッセージを発信する予定が有るからだ。
 食堂のテレビで、局のアナウンサーが我が国の刑務所事情について説明する様子を見ていると、画面はいきなり新たに建てられた警察署の前、大統領を始め首相や国軍、警察などのトップが勢揃いした映像に切り替わった、彼らこそが戦車を以てして国軍が守らねばならないメンバーなのだろう。
 局のアナウンサーが彼らを一通り紹介した後、話し始めたのは大統領報道官と紹介された女性。

「ここにはこの警察署の他、刑務所や警察官向け研修施設を含め多くの建物が建てられましたが、これらは遠江王国、プリンセス詩織の協力無くしては完成させることが出来ませんでした。
 改めてプリンセス詩織と遠江王国に感謝します。
 さて、今日は国民の皆さんに我が国の司法制度を紹介させて頂きたいと思います。
 そう、犯罪を犯した人がどの様な過程を経て裁きを受けることになるかです。
 今回の犯人役はここに並んでいる方々にお願いして有ります。
 まずは逮捕、我が国では犯罪件数の増加に伴い簡略化されていますが逮捕の理由は告げられています。
 たった今、被疑者達が逮捕され手錠が掛けられましたが、逮捕してくれた人の制服は見慣れた警察官のそれとは少し違いますね。
 実は大統領が犯罪を減らす目的で新設した大統領親衛隊の一員なのです。
 大統領親衛隊は警察官と国軍の兵士からの選抜チームですが、今は警察にも国軍にも所属しない大統領の指揮下に有る独立した組織で、警察官と同じ権限を持っています。
 少しお話を伺ってみましょう。
 この方の容疑は何ですか?」
「とても多いのですが、罪状として告げたのは収賄です。
 警察のトップで有りながら犯罪組織のボスと癒着していまして、お金を受け取って罪を見逃して来たのです。
 我が国から組織犯罪が減らないと思われている方も多いと思いますが、その元凶だったのです。」
「ひどい人なのですね、容疑が多いと言うことは、他に余罪が有るのですか?」
「ええ、自宅を新築した時の費用は公費を流用していますが、それだけでは無く、経費を胡麻化し気に入った女性に高価な宝石を買い与えたり、気に入らない下級の警察官にやってもいない罪をなすり付け刑務所送りにしたりと、調査していて気が滅入りました。」
「こんなひどい人はこの後どうなるのですか?」
「まずは、留置場に入れられ、露見した悪事に関して調書を取られます。」
「有難うございました、それでは留置場へどうぞ。」

 お、おい、これって本当に逮捕したってことじゃないのか!
 警察のトップを。
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