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近衛予備隊-103 [高校生バトル-53]

 受刑者が移送されて来ることに対して当初は村人から心配する声も聞かれたが、実際に移送され訓練生の指揮下で働き始めると何の問題もない事が村人達にも伝わった様だ。
 それは単に模範囚を集めたからだけでなく、元いた刑務所より食事の質を良くし、研修を受け看守となった元兵士達が、出所後には犯罪から足を洗い真面目に働くよう優しく導いているからだろう。
 それはほとんど人間扱いされていなかった受刑者にとってとてつもなく大きな変化だったことは間違いない。
 労働力が増えたことで道路環境も改善され村人達がその恩恵を受けていることも大きい。
 今までは町から店への道路以外に舗装されている道はなく、ぬかるみにタイヤを取られ抜け出すのに苦労する車をよく見かけたものだが、それが少しずつ改善されていると感じる。
 プリンセスの指示により村人に対して受刑者受け入れのメリットを目に見える形でと進めた結果だ。

「詩織、設備に対する投資額が膨らんでいると思うのですが大丈夫ですか?」
「問題ないわ、広くなった村のインフラ整備は元からの予定に有ったことなの、確かに治安回復の為の取り組みは予定外だったけど、受刑者が真面目に働いてくれて人件費を抑えられているからね。
 あなた達の家も二軒めに取り掛かるのでしょ。
 少しづつ綺麗になって行く村が国中で最も治安の良い村になるだけで経済効果が見込めるのよ。」
「経済効果ですか…。」
「ここの話を聞きつけたお金持ちが移住を考え始めたみたいなの、訓練生にオフの日も極力制服を着用して貰ってる効果が表れ始めたわね。」
「治安が良いと移住まで考えるものなのですか?」
「ええ、お金持ちは強盗の標的になりかねないでしょ、それなりの対策にお金を使いながら怯えて暮らすより移住した方が良いでしょ、ここは町に無い様な娯楽施設を建てる計画も有るのだから。」

 村の人口は受刑者を含め勢い良く増えている。
 警察官の手を煩わせる程では無いが、元からの住人と店や公園整備の為に移住して来た人の間でトラブルが発生しているとも聞くので少し不安なのだが、プリンセスは色々な人がいるのだから少しばかりのトラブルは有って当然だと言う。
 そこから犯罪に繋がらないだけの体制を維持したいとも。
 確かの町の犯罪発生件数は少なめに発表されていると聞く割に多過ぎると感じる。
 この村が正真正銘国中で最も治安の良い村で有り続ける様に自分も出来ることをしたものだと思う。
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