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近衛予備隊-102 [高校生バトル-53]

 研修の一環として町で警察官を逮捕する時には大統領が特別に発行させた逮捕状が用いられ、逮捕される警察官の上司は介入を許されなかった。
 その上司が薬物犯罪に加担していないとは言い切れなかったからだが、このことは警察関係者、特に幹部にとって衝撃的なことだったそうだ。
 下っ端の研修だと思っていたら、大統領がバックについていたからだ。
 ただ、彼らは大統領が何をしようとしているのか邪推することしか出来ず、また目立った動きはそれだけで終わったので、町から遠く離れた村で様々な研修が進められていることまでは知る由も無かった。
 村で検察官や裁判官、それを支える裏方の人達が研修を受けている内容が極力外に漏れないようにしているのはそれが禁止薬物の密売組織に知られない為だそうだ。

「ジョン、刑務所の一部が完成したら他の刑務所から受刑者を移送すると聞いたけど大丈夫なの?」
「心配には及ばないよシャルロット、定員をオーバーしてる刑務所から模範囚を選び面接した上での移送で、それぞれが新しい刑務所で仕事をする前提、どんな仕事をするのか決まってからになるし、刑期を終えた後のことも視野に入っているからね。」
「労働力として?」
「ああ、今までは刑期を終えても、次は捕まらない様に上手に悪事を働こうと考えるしかなかったが、ここでの取り組みは犯罪から足を洗えそうな人の為に環境を整えることも考えていてね。
 刑務所の二期工事に従事したり受刑者の食事を作ったり床屋や洗濯と言った仕事が今までの経験に基づいて割り振られることになっているんだ。」
「その二期工事が終わったら本格的に動き始めるのかしら?」
「一気に薬物を流通させている組織を叩き壊滅させるまでには少し時間が掛かると聞いている、刑務所の規模が大きくなればその為の人員が必要になり、まだまだ研修が続くそうでね。」
「学校のスタートの方が先になるのかしら?」
「多分ね、研修に来てる人達の中には妻帯者が家族で移住して来るパターンも増え始めているから、早く仮設住宅から新たに建設中の寮に移り住んで貰わないと。
 刑務所の二期工事が終わるまでに仮設住宅を物置にする計画も有るからな。」
「村の人口が一気に増えたけど、更に増えるのね。」
「ああ、内密な調査期間を経た後、本格始動のタイミングで大統領から大きな発表が有るそうだよ。」
「この国から薬物犯罪が減るのかしら?」
「そうなって欲しいね。」
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