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近衛予備隊-98 [高校生バトル-52]

 翌日から休憩時間を狙って日本人スタッフに声を掛けてみたのだが、日本語の単語を並べただけでも喜んでくれ、英語での解説付きで応えてくれた。
 YouTubeでは上手に日本語を話せてるのにと突っ込まれてしまったが、訊くと俺のYouTubeチャンネルは彼女達の間でも評判らしく、日本の知人からも俺に関することを教えて欲しいとの連絡が幾つも入ったそうで、友人に送るからとツーショット写真を何枚も撮られることになった。

 YouTube向けの撮影をしたり日本語の学習に取り組んだり出来るのは、相変わらず村長としての職務が少ないからだが、とても静かに自分が村長として気を引き締めるべきことが進行していたと知ったのはそれから間もなくのことだ。
 以前プリンセスとは警察官の訓練教育施設の話や給料の安い警察官の為に副業を認める話しをしていたのだが、それが形を変え実現するすることになっていたのだ。
 話が大統領とプリンセス詩織を中心に進んでいた為、近衛隊のリーダーでも知っていた人は僅かだったそうで、俺がプリンセスから聞かされるまで何も知らなかったのは当然のこと。   
 当初の話とは少し違い、警察官だけでなく国軍の兵士が訓練に加わるだけでなく、他の国家公務員も警官や兵士とは別の形になるがここで研修を受けるそうだ。

「詩織、話が随分広がって進んでいたのですね。」
「ええ、大統領としては、そろそろ目に見える実績を上げておかないと立場が危うくなるそうで、かと言って彼の取り巻きに任せていたのでは何も進まないことに気付いたのだとか。
 まだ詳しくは話せないのだけど、ここで訓練する国軍の兵士には警察官と同等の権限を持たせて薬物の取り締まりに当たらせるとか考えているのよ。」
「兵士なら通常の訓練から離れても問題ないと言うことですか?」
「そうね、一応警察官の増員も進めているのだけど、給料が安いからどうなるのか分からないの。」
「給料が安いのに町を離れてここまで訓練に来る人達からは不平不満が出ませんか?」
「警官と兵士の一部訓練は副業扱いでね、学校建設予定地を中心に荒れた土地を切り開き、まずは警察官と兵士が生活するテントを建てられるように作業、その後仮設の建物を建てて貰う代わりに、給料は普段の五割増しなの。
 但しうちのプリペイドカードへ普段の給料分と同じ額が入金され、それ以外は今まで通りの方法で支払われるのだけど、それを了解した人達だから問題無いでしょう、マーケットでも使えるからね。」
「それだけの額を会社が負担するのですか?」
「まあね、全額店の売り上げになるし、その内の何割かは回収出来るから、この形にしたのだけど。」
「それでも、それなりに…。」
「長い目で見ればきっと利益に繋がって行くと考えてのことだら心配しなくて大丈夫よ。
 それより、第一陣が来週到着して自分達の野営地整備を始めるの、村長として彼らと会ってくれる?」
「分かりました、フォローをすれば良いのですね。」
「ええ、お願いね。」

 聞きたいことは色々有ったが、俺はプリンセスに訊ねるより警察官や兵士から直接聞いた方が良いと判断した。
 だが警察と国軍は仲が悪い、村長としてその間に入る可能性を考え、緊張感が高まっている自分がいた。
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