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近衛予備隊-90 [高校生バトル-51]

 新しい学校の話はスティーブやエミリーにも相談し具体的な計画を練り始めたのだが、一週間もしない内に白紙となった。
 新しく学校を作る話を伝え聞いた従業員が、それなら家族を呼び寄せたいと言い始めたからだ。
 近衛隊が募集した従業員は寮の関係も有り単身での応募に限っていたので、俺はここで結婚しても子どもが学校へ通うまで、まだ時間が有ると考えていた。
 しかし、家族を自分の村に残し町へ出稼ぎに出ていた人が、そのままここへ働きに来たと言う例が少なからず有ったのだ。
 そんな彼らがここでの暮らしを気に入り家族を呼び寄せたいと思うのは自然なことだろう。
 それはスティーブ達にとっても想定外のことだったが従業員を幸福にすることこそが村の目的なので無視は出来ない。
 そこで、直ぐに呼び寄せたい家族の人数やその構成などの調査を行い、その結果を踏まえた会議が開かれた。

「前の村と違いこの村では独身者と明記して募集したつもりでしたが、聞いてみると言葉の行き違いが有った様で、彼らは結婚していても一人でここへ来るので有れば独身者だと捉えていたそうです。
 そう思った人が三十七名もいたのですから彼らを責める訳には行きません。
 呼び寄せたい人の合計は妻が三十三名、親が二十四名、子が百十六名で、その内小学生に当たるのが五十一名、中学生相当が六名、それ以上が四名で、残りは幼児です。」
「思ってたより子どもが少ないですね。」
「若い人が多いですから。」
「住まいの確保はどう?」
「ほとんどの人は部屋に充分な広さが有るので普通に同居出来ると言っていますが、四家族には無理が有りそうです、ただ、勤務態度の悪い連中を二人部屋にすれば部屋の確保は出来るかと思います。」
「子ども達の為に本格的な村立小学校が必要になるわね。」
「はい、ジョン、用地はどうかな?」
「新たに建設される寮の近くに適当な平地が有ります、造成の必要は有りますが。」
「新しい寮を家族寮中心に変更するのは難しいかしら?」
「設計事務所と相談してみます。」
「ええ、お願い。
 ジョン、その場所に小学校を建てた場合、今の学校に通うより地理的に楽になる子がいるのでしょ?」
「はい、学校は自分達の部落から遠いので随分違います、正確な数字では有りませんが五十人ぐらいでしょうか。」
「その子達にも通って貰う前提で、且つ将来的に人数が増えることを想定して…、敷地の広さはどう?」
「放棄された昔のプランテーション跡ですから広さは充分有ります、荒れ放題ですが。」
「広い土地だとしたら調査から漏れていたのかしら?」
「広くても荒れ放題なんです、高い所から見ないとそこに広い平地が有ることは分かりません。」
「プリンセス、ジョンに聞いて調べてみます。」
「お願いね。」

 小さく始めるつもりだった新しい学校は、百人以上の子どもが通う村立学校へと形を変え動き始めた。
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