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近衛予備隊-34 [高校生バトル-46]

「例えば人間が金になると思って植えた作物が全然売れなくて放棄された畑が有るとするだろ。
 その作物を気に入った野兎が豊富な餌のお蔭で一気に増える訳だ。
 だが増えて目立つ様になると鷹などの餌となり易くなって数を減らす、そうやってバランスが取られているのだけど、鷹はどうかと言うと、縄張りが有る為か増え過ぎないみたいでね。
 そんな自然界の生態系、弱肉強食は人間社会にも存在していて、町へ働きに出掛けてる兄貴達は強者の食い物にされている野兎同然だが、村で細々と食い繋いだ所で野兎以下で人間界での強者には到底成れない、富は人間界の鷹たちが溜め込んでいるからな。
 俺達は貧困層だとはっきり言われたよ、簡単には抜け出すことの出来ないね。
 でも、プリンセス詩織は俺達貧困層の生活改善を考えてくれているんだ。
 教育と医療、そして仕事の環境、シャルロットもその辺りは分かってるだろ。」
「ええ、村の子達は今までとは違った教育を受けられる様になり可能性が広がるのよね。」
「フロアマネージャーは良い事ばかりではないと話していたが、リーダー次第で変わるとも。
 俺達が人間社会のことを考えながら学び、この村をリードして行けばとね。」
「ジョンはリーダーだもの、この村はジョン次第だと思うわよ、この前も村長と詩織近衛予備隊隊長ではどちらが格上かなんて、暇そうな大人達が話してたから。
 将来を考えたらお年を召された村長よりジョンの方が信頼度が高いとか。」
「そんな無責任な話は俺も耳にしたが、少し前なら冗談はよせって感じだったと思う、でも、店での作業を見てたら大人だからと言って能力が高いと言う訳ではないと思い始めてね、勿論俺達が学ぶべきことは沢山有るのだけど。
 前にメアリーから村の環境改善について言われたことはずっと考えていたんだ。」
「自分達の力で村を変えるって話ね。」
「今までは余裕が無かったから、大人達は取り敢えず現状の暮らしを維持することで精一杯だった。
 でも俺達予備隊なら、会社の力を借りて村を変えられると思うんだ。」
「会社の力は借りられるの?」
「教育環境の改善は教官達が既に進めているだろ。
 でも、その成果を高められるかどうかは俺達次第、自分達の村のことだからな。」
「大人達はそこまで考えてなさそうね。」
「視野が狭いからな、でも俺達はネットを通して色々学んでいる。
 隣村で体験してるシャワーやトイレをここでも使いたいじゃないか。
 清潔な環境になって病死する子どもが減れば良だろ…。」
「何か引っ掛かることが有るの?」
「それによって人口が増え過ぎる可能性を聞かされたんだ。
 自然界で多くの卵を産む生物は、生まれて来た多くが上位種の餌となることを前提にしてるとか…。」
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