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近衛予備隊-27 [高校生バトル-45]

「遠江王国への旅はメアリーにとって良い経験となったのですね。」
「ええ、旅を通して、自分のしていた仕事は自分をすり減らしているだけでなく他人にストレスを与えていたとも思えて来て。
 帰国後に近衛隊募集の情報をメールで教えてくれたのも旅先で出会った人でね、直ぐに迷うことなく応募したの。」
「給料が減るのにですか?」
「ええ、その時は給料のことなんて気にしてなかったわ。
 でも、実際に入隊してみたら家賃を払わなくて良くなっただけでなく、シチュエーションによって選べる隊服が色々用意されていて服にお金を掛ける必要が無くなり出費がぐっと減ってね、その分美味しい物を食べることに使えるのだけど、隊としてのパフォーマンス訓練で体を動かすからダイエットをそんなに気にしなくても良くて良い事ばかりだったのよ。」
「ダイエットと言う概念は教官の話で初めて知ったな。」
「確かに痩せてる人が多いけどそんなに食糧事情が悪いの?」
「畑が有るので食べる物は有るのですが、そんなに美味しくない…、と言うことは予備隊に入隊してから気付かされまして、以前は空腹が満たされたら、それ以上食べたいとはあまり思わなかったのです。
 でも入隊後は、お菓子を食べさせて貰ったり調理実習で作る食事が美味しくて。」
「運動量の多い連中は問題ないと思うけど、ルーシーは食べ過ぎに気を付けるべきかもね、重くなりすぎるとジョンに抱っこして貰えなくなるわよ。」
「う~ん、ちっちゃい頃は抱っこしてくれたけど最近はしてくれないのです。」
「そっか、ルーシーが成長してジョンは気軽に抱っこ出来なくなったのね。」
「はい、バスには車椅子のまま簡単に乗れるので助かりましたよ、初めての時は車椅子の固定に手間取りましたが。」
「前はどうしてたの?」
「ルーシーがバスに乗ったのは幼い頃だけで…、ずっと乗ってなかったよな。」
「うん。」
「じゃあ、村から出ることも無かったの?」
「ええ、でもそれは私だけでなくて…。」
「現金収入が少ないから町へはそんなに連れて行って貰えなくて、俺も年に一回、お祭りの時だけで。」
「そんな生活をしてて良く今の学力を身に付けられたわね。」
「学校が有るだけでなく、兄が仕送りしてくれる時には必ず本を一緒に、それを兄弟だけでなくシャルロットやルーシー、今の副隊長、小隊長などとみんなで回し読みしてたのが大きいのかな。
 兄なりに本は選んでくれてたみたいで。
 自分が給料を貰える様になり手紙を送り易くなってから、英文で近況報告の手紙を送ると、とても嬉しいと返事をくれてね。
 プリンセス詩織が隣村に滞在中に絶対帰るからと返事を貰ってるから、メアリーにも紹介するね。」
「お兄さんはどんな仕事を?」
「商社の下働きだけど、真面目に働いていたらランクを上げて貰えたとか、それでもメアリーの給料には及ばないのだろうな。」
「そんな中から仕送りをして、本も?」
「だから、学習には真面目に取り組むしかなくてね、俺達は。」
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