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近衛予備隊-23 [高校生バトル-45]

「俺達はパソコンが無くて当たり前と言うか、その存在すら良く分かって無かったのだけど、今、使えなくなったらと思うとぞっとする。
 高校生バトルが組んでくれてた学習プログロムが無かったら英語力の向上も遅れたと思うし、教官から、学習は教えて貰うのでは無く、自分から取り組んでこそ最大限の成果を上げられると言われたのだけど、その意味が分かったのはパソコンが有りネット環境が整ったからで、それまでは自分で調べようと思っても方法が無かったからな。
 もっとも、パソコン学習で成果が上り始めてから、教える作業を随分任されてしまったのだけど。」
「ふふ、ジョンのことを信頼してるのは隊員だけで無く教官達もなの。
 教官達はこの国の出身ではない人が多いでしょ、価値観の相違も有って指導しにくい面が有ってね。
 そんな隙間をジョンとルーシーが埋めてくれたおかげで、第三部隊は順調なのよ。」
「俺達には第一部隊や第二部隊の持つ時間的なハンディが有りませんから。
 でも少し複雑な気分です、彼らの国はそれだけ教育制度が充実している訳で、我が国では学校へ行かなかったとしても何の問題もなく、実際この村でも学校へ通ってない子は何人もいて。
 うちの親は絶対必要だからと、俺の働く時間が少なくなっても構わないからと学校へ行かせられていたのですが…。」
「だから識字率が低いのね、識字率の低さが国の貧困に繋がったりするのだけど。」
「その辺りも価値観の相違なのでしょうか、プリンセス詩織の価値観は私達の遠く及ばない崇高なものだと感じます。」
「ルーシーはプリンセスの価値感を受け入れられる?」
「まだ…、私は助けられている立場で、プリンセスの様に多くの人達の為になんて考えられません。」
「そっか、でも…、あなたがモデルとして活動してくれたら、多くの人が助かるのよ。」
「えっ?」
「モデルって服を売ると言う目的が有るけど、ブランドのイメージを高める意味合いが有るの。
 そしてハンディを持つルーシーが生き生きとしてる姿はハンディを持つ人達を勇気づけるのよ。
 さて、ルーシーの活躍で百万ドルの売り上げが有ったとしましょう。」
「いくら何でも多過ぎません?」
「例え話だから良いの。
 その百万ドルの意味は考えられるかしら?」
「意味ですか…?」
「売り上げ百万ドル、それは多くの人で分け合うことになるでしょ。」
「えっと…、服を作った人や売った人の給料だったりと言うことですね。」
「ええ、服の元となる糸を作った人、販売する為の商店を維持することや、店の開店時に借り入れたお金の返済に充てられたり、勿論ルーシーに対する報酬にもね。」
「一着の服には多くの人が関わっていると言うことですか…。」
「広い見方をすれば、繋がりの強さに差は有っても売り上げの恩恵を受ける皆は私達の仲間なのよ、経済活動を通してのね。
 そして売上が百万ドルではなく百ドルだったら、その経済活動は随分小さいものになってしまう。
 この国の経済が思わしく無い理由は分かるでしょ。」
「えっと、収入が少ないから経済活動が活発にならない、そこに悪循環が生じている。
 言葉では何となく分かっていても、良く分かっていません。」
「店がオープンし、プリンセスが来て下さったら分かるかもね。」
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