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近衛予備隊-13 [高校生バトル-44]

 シャワールームは大きな建物の中に有った。
 従業員用の出入り口から入ると直ぐに従業員用の食堂が有りその奥になる。
 使い方と使用上の注意事項を聞かされた後、実際に使わせて貰った。
 俺達の村にまともなシャワーは無く、川か井戸水を利用しての水浴びが一般的、個室のシャワーは始めての経験だった。

「ルーシーもシャワーを浴びさせて貰ったの?」
「ええ、私の様なハンディが有っても使い易い様に作られたシャワールームが有ってね、ジョンの助けが要らないのは少し残念だったけど。」
「はは、小っちゃい頃なら兎も角、さすがにな。」
「この後は店の中を見せて貰えるのよね。」
「ああ、但し、まだ工事をしてる所も有るから勝手に動き回るなよ。」
「気を付けるわ、でも新しい車椅子が快適でつい…。」
「分かった、勝手しない様に俺が押してやるよ。」
「ねえ、ジョン、正妻はシャルロットで良いから私を第二夫人にしてくれない?
 シャルロットとは仲良しだからさ。」
「はは。」
「ダメ?」
「考えて置くが、みんな揃ったみたいだから行くぞ。」

 ルーシーは明らかに舞い上がっている、第二夫人を持てるのは一部のお金持ちだけで俺達には考えられないこと、しかもそれは正式な制度ではなくトラブルが起きていると聞いていて、そのことは彼女も分かっている筈。
 まあ、彼女が普通に結婚して子育てしたいと考えていることには気付いていた。
 シャルロットが居なかったら、付き合いを考えても良いぐらいに仲は良くて…。
 改めて、彼女の身体的なハンディについて考えてしまい、考えて置くと答えてしまったのは、彼女の今までの苦労を思い出していたからだ。
 シャワーだけでなくトイレも使い易かったと話していた…、そんなことでも今まで俺には分からない苦労が有ったのだと思う。
 そんなことを考えながら、ルーシーの車椅子を押し教官の後に続いて入った店内は明るかった。
 まだ棚の設置を進めている段階で商品は並んでなかったが、以前、親に連れられて行った町の店とは綺麗さが全く違う。

「あっ、階段が動いてるぞ。」
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