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近衛予備隊-10 [高校生バトル-43]

 俺達の入隊から四か月、プリンセス詩織は三つ目の滞在地で有る近衛予備隊第二部隊の担当する村で暮らし始めた、この次はここの隣村に滞在予定なので、まだ日は有るものの俺達の緊張感は徐々に高まりつつある。
 プリンセス詩織とメールのやり取りを始めてから、第一部隊、第二部隊ともメールのやり取りを始め、パソコンを利用し顔を見ながらの対話もしている。
 彼らからはプリンセスの話だけでなく、それぞれの村の話を教えて貰っているが、国は違えど似た様な生活水準、お互い英語学習を頑張ってることも有り親しくなった。
 三部隊の中では俺達が一番後発なのだが、彼らは地元の学校に通いながらの訓練なので、俺たち程予備隊での時間を過ごせては無く、分野によっては俺達の方が進んでいる。

「ジョン、さっきの話は全然分からなかったわ。」
「ルーシーは学習してない内容だからな、第一部隊の彼は俺達よりだいぶ年長で三角関数が難しいと話してたから、少し助言をさせて貰ったんだ。」
「三角関数?」
「俺は、途中からだけど大工チームの手伝いをしてるだろ。」
「日本人技師が教官に加わることになってから、その通訳だったわね。」
「彼は大工チームメンバーに色々教えたいそうで、その相談にも乗っていたのだが、結果、彼が教えたいことを俺が学び、俺から連中に伝えるのが一番効率的だと言う結論に至ってさ、その場で通訳しているより速いだろ。」
「確かにそうね、話を聞いての通訳では時間のロスが大きいし、ジョンの知らない単語が出て来たら更に面倒よね、大工メンバーの実力を知ってるジョンなら良い教官に成れると思うわ。」
「そんな事情が有って、教えて貰ったのが測量の基礎と、そこで活用されている三角関数なのさ。
 第一部隊の彼は測量と言うワードは知ってたけど、そこで三角関数が利用されてることを知らなくてね、測量に取り組んで三角関数がどんな使われ方をしてるのかを知ると、理解が深まるかもと話したのさ。」
「良く分からないけど、年長者のリーダーが難しいと言ってることを、ジョンが大工チームに教えると言うことなのね、改めてジョンのことを尊敬するわ。」
「実際に測量を教えるのは三人程度、他の連中には難し過ぎるからな。」
「それで良いの?」
「ああ、日本人技師も家を建てる時は分業制だから、全員が全部の作業をマスターすることを考えなくて良いと言ってたよ。」
「そっか、多くを求められたら投げ出しかねない人もいるものね。」
「これから先は町へ働きに出るか、隣村関連の仕事をするか、その希望によって学習内容が変わるそうで、それだけ隣村の建物は今までこの辺りで建てられていたものとは違うのだけど、隣村関連で働くので有れば当分の間、上手く行けば一生仕事には困らないし、技術を身に付ければ給料も良くなって行くと話してたよ。」
「へ~。」
「実際俺は通訳を始めてから給料が上がったし、大工チームに対して教えてることが評価され、来月から更に給料を上げて貰えることになっているんだ。」
「じゃあ、隊長になったら更に?」
「それは聞いて無いが、日本人技師は今のまま真面目に学習や作業に取り組めたら、もう少しまともな給料を貰える仕事を紹介すると話してくれたよ。」
「彼は私たちの給料をまとまな額だとは思ってないのね。」
「ああ、俺達とは生活水準が全く違うからな。」
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