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近衛予備隊-09 [高校生バトル-43]

 プリンセス詩織からの返信メールは、丁寧に書かれた長文だった。
 俺達のことは近衛隊のメアリーから知らされていたそうで、俺が隊長候補だと言うことやルーシーの車椅子生活だけでなく、他の二人についても触れられていた。

「私達はこれをプリンセス詩織からのメールだと思って良いのよね?」
「ああ、プリンセスならこう返信するだろうと担当者がプリンセスに成り代わって入力してくれたとしても、プリンセスを支えてる人もプリンセスが素敵な女性だと思ってることが伝わって来るだろ。
 ここは素直にプリンセスからのメッセージを喜んでおこうよ。」
「私達が英語での接客を学んでることもメアリーは伝えてくれてたのね。」
「やる気、出た?」
「元々、頑張ってますよ、隣村で働けるのなら町へ行かなくて済むのだから。」
「町に憧れてる派ではなかったの?」
「全然、トラブルに巻き込まれ大怪我をして町から帰って来た親戚は、見舞いに行ったら相手は薬物中毒だったと話しててね、町は犯罪も多いし怖い所だと話してたわ。
 彼は怪我が有る程度治っても農作業出来るまでに回復出来なさそうだから心配なのよ。」
「そんなことが…、その話、教官か近衛の人に話した?」
「話すことでもないでしょ。」
「伝えて置くべきよね、ジョン。」
「ああ、むしろ教えて欲しいのではないかな、彼らは社会的弱者の味方で有ろうと考えてるからね。」
「社会的弱者?」
「大怪我をしたことで経済的にも困っているのだろ?」
「そうね、働いてた会社から少しばかりの見舞金を受け取っただけで、今後親戚一同で支えるにしても、どこも余裕がないからとお父さんは嘆いてた。」
「町で働いてたのなら、何か特技でも有ると良いのだけど、一度会いに行こうか。」
「みんなで?」
「近衛と一緒に村の現状を映像に収める話が出ていただろ、下調べの一環としてどうかな?」
「映像は村の良い所を見せるのだと思ってたわ。」
「いやいや村の宣伝動画ではないからね、ルーシーはどう思う?」
「豊かな国の人達に我が国の現状を知って貰うことは必要だわ、隣村が観光に成功し、この一帯の生活水準を上げることに成功した時、比べて貰う為の記録映像でも有ると教官が話してたのだから…。
 パソコンで外国の情報を得られる様になってから、如何にこの村が遅れているのか思い知らされたよね。」
「だな。」
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