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近衛予備隊-07 [高校生バトル-43]

 近衛予備隊に入隊してから三か月、隊員が揃うのはパフォーマンスの訓練ぐらいになっている。
 ルーシーは行進こそしないが、英語でのアナウンスを担当することになってから、しばしば顔を出す様になった。
 この三か月で本人の希望やその適性などから六十人の隊員は様々なグループに分かれ、それぞれ学習や訓練を受けている。
 教官達は俺達の将来を考え職業訓練に重きを置いてくれ、大工を志すメンバーは村に俺達の拠点となる建物を建てることを目標に実習を始めた。
 農業チームは農地改革を学び始めているが、難しいことの苦手な連中なので…、それでも村の大人が一緒に学ぶことになり、もしかすると村の農業事情は改善されるのかも知れない。
 裁縫が得意だったり興味の有ったメンバーは、プリンセス詩織のグッズ製作に取り組んでいる。
 みんなそれぞれ、将来を見据えた学習や実習、訓練に取り組み始めている訳だ。
 そんな中、俺はパソコンと向かい合っている。
 共に学ぶメンバーは三つのチームに分かれ、互いに教え合いながら競い合っているのだが、何とか合格点を貰え、プリンセス詩織の脳にメールを送らせて貰えることとなった。

「ルーシー、文に間違いはないよね?」
「少しぐらい間違っていても問題無いからそんなに心配しなくて良いのよ、トラブルが起きてもジョンが何とかしてくれるから安心して。」
「はは、ルーシーが居るから大丈夫さ、さあ送信しようか。」
「えっと、ぽちっとな、これで良いのよね。」
「問題無いけど、送信する時に『ぽちっとな』と言わなければならないと言うのは教官の冗談だと思うぞ。」
「え~、そうなの、みんなにメールを送る時は欠かさず口にしてたわ、ジョン、早く教えてといてよ。」
「言っても言わなくても問題は無いのだから心配いらないさ。
 まあ、メールを見てくれるプリンセス詩織の脳メンバーに教えたら笑ってくれるかもな。」
「ジョンったら…。
 ねえ、返事が来たら、次はどんなメールを送る?」
「そうね、遠江王国、日本、みんなで調べてはみたものの全然分からないのよね。」
「日本は我が国とは比べ物にならないぐらい豊かな国、でも社会問題はそれなりに有る、そこを改善しようと遠江王国が…、私達は始めの内プリンセス詩織のことだけを学んでいたけれどプリンセスが一人だけで成果を上げてる訳では無くて…。」
「今送ったメールもプリンセスが目にすることはないのよね。」
「大きな組織のトップが俺達の自己紹介なんて気にしてたら何も出来なくなるだろ。
 その代わりの組織、プリンセスの脳で有るチーム詩織、その凄さに気付いてるのか?」
「な、何となく…。」
「俺達の送ったメールをプリンセスは見ることは無い。
 でも、返信はプリンセスならこう返すだろうと言う予測に基づいて送られて来るんだ。」
「その辺りが良く分からないのよね。」
「ルーシーでも分からないのなら私には理解不能だわ。」
「じゃあ、返信の内容にもよるけど、次のメールではその辺りを聞いてみようか?」
「う~ん、どう質問をすれば良いのかすら分からないわ。」
「私も…、ジョンとルーシーに頼るしかなさそうね。」
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