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近衛予備隊-05 [高校生バトル-43]

 近衛予備隊に入隊してから二か月ほど過ぎた。
 最近、シャルロットに予備隊の話をしていて、ふと気付いたことが有る。
 それは、入隊するまで自分は何も考えてなかったのではないかと言うことだ。
 学校の学習でも一応考えていたとは思う、でもその考えるは今より遥かに低レベルで…、上手く言えないが、予備隊では難しいテーマを提示される割に多くを説明されないからか考えることが増えた気がする。
 教官達は授業を始めるに当たり無駄な暗記を求めないと話したが、それは嘘ではなく今までペーパーテストの類は行われていないし、これからも予定は無い。
 暗記することと考えることは全く違う作業だが、俺達の能力を計るのならペーパーテストは有効だろう、だが教官達はテストを行わなくても色々分かるそうで。
 いや実際に分かっているのだと思う、それはこの二か月で人により取り組む内容が大きく変わったことに表れている。
 隣村での農作業実習が増えた奴は、算数も英語もまるでダメだが体を動かす農作業は嫌いで無く一緒に作業している大人達に可愛がられていると聞いた。
 パソコンの使い方を教えられているのは英語学習に対する取り組みを認められた俺を含めた十二人だけ、今は三台のパソコンを交代で使っているが、今後パソコンは増やして貰えることになっている。
 インターネットの回線が敷設されたばかりと言うことも有って、村でパソコンを使ってるのは俺達ぐらいのもので、俺はささやかな優越感に浸っているのだ。

 以前はあまり自分が考えて無かったことに気付いた俺なのだが、その切っ掛けとして気付く力について考える授業が有ったことが関係していると思う。

「ねえジョン、気付く力って観察力と思いやりの心だと思わない?」
「ふむ、ルーシーがそれに気付いたのは考える力も関係しているのかな。」
「そうね、近衛予備隊に入隊する前は気付く力や考える力なんて考えもせず、脳をくだらないことに使ってた気がするわ。」
「学習に前向きだったルーシーでもか?」
「だって、足の事も有って私の現実は暗かったでしょ、その現実から逃げたくて学習に取り組み、何の為の学習なのか、その教科を学習する意味は、なんて全く考えて無かったもの。
 今考えると、大切な部分の抜け落ちた学習では例えペーパーテストで好成績を上げられていても、無意味だったとさえ思えるわ。」
「そうだな、ペーパーテストは表面的に暗記していれば点は取れるけど、教官達はそんなことを俺達に求めて無いものな。
 今役立つ知識、近い将来役立つ知識、考える力や気付く力、そして心を豊かにする教養、それを明確に示し学習の場を用意するが強要はせず、それぞれの能力や興味関心を重視してくれてる。
 トラブルに対しての対応も、学校の先生とは全く違うものな。」
「スーザンの妊娠が分かった時なんて、去年先輩が妊娠した時は全く違ってたものね。」
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