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近衛予備隊-04 [高校生バトル-43]

 行進を中心としたパフォーマンスの練習は思っていたより厳しくなかった。
 全員が揃うことより見ていて楽しいことが重視されているからだ。
 ポールは不器用でワンテンポずれることが多いのだが、それも面白いからそのままで良いと言われたぐらい、但し彼には自信なさげでおどおどした表情やしぐさではなく、堂々とずれてた方がより面白いから研究するようにとの課題が出された。
 その指導はポールに自信を付けさせたいと言う意図が明白で、俺達の指導教官に対する信頼を強めさせることにもなった。
 この課題と言うのは宿題とは少し違い一人一人の目標でも有る。
 俺はメアリーと相談して英語力アップをメインの課題とし、環境が整ったらルーシーの次にパソコン学習を始めることにして貰えた。

 今まで学校で学習して来なかったこととしては社会が有る。
 一応社会科として歴史とかの学習はして来たが内容が全く異なり、難しくは有るが興味深い。
 この授業は自分達の置かれてる状況を考えることから始まった。
 村での生活は悪くなかったが、生活の為、近い将来村を出て行く事は皆が覚悟していたことだ。
 そこから、人としての幸せ、村と都市部の格差、犯罪、差別など社会問題とされることを教えられ考えさせられているのだが、そこに答えはない。
 担当教官は、自分で考え自分なりの答えを見つけ出すことが大切だと言う。
 ただ、それと並行してプリンセス詩織の功績を学んでいるのだから、そこから答えを見つけて欲しいと言う思惑は丸見え、それを指摘しようかとも思ったが、俺達はプリンセス詩織の軌跡を知るにつれ彼女は特別な存在だと思うようになっているので…、まあプリンセスの写真や動画を見せられただけで誰しもが好きになってしまうのだから余計なことを言う必要はない。

「プリンセス詩織は日本の遠江王国を出られ、一つ目の滞在地、お金持ち王国に入られたそうよ。」
「それもお姉さんからの情報なの?」
「ええ、同時に隣村は四つ目の滞在地として正式発表されたの。」
「プリンセスだからお金持ち王国は分かるけど、改造中とは言えあんな村で良いのかしら?」
「大人の事情が無かったら王国へは行かなかったと思うわ、プリンセス詩織は社会的弱者の生活環境改善を考えて下さってるからね。
 私達がどれだけ頑張ろうとルーシーの将来を何とも出来そうに無かったのを、近衛達は解決しようとしてるでしょ。」
「お金持ちって自分達のことしか考えてないと思ってたな。」
「多分そうなのだろうけどプリンセスは違うし、プリンセスの影響でお金持ち王国の国王も動いたのだからね。」
「大きな公園を整備運営することで安定した職の確保、プリンセスは同じことを規模を小さくして隣村でも、利益を出してこの国の社会的弱者救済に充てて行くのだったな。」
「村長が言ってたわよ、今までこの国に工場を建てる海外の会社は有っても、それは自社の利益を考え、単に安い労働力が得られるから進出して来ただけのこと、この国のことなんて何も考えてなく、酷い企業だと平気で環境破壊をしているのだとか。
 でもプリンセス詩織は本当に我々のことを考えて下さっているのだと。」
「超絶美人で弱者の味方なのよね、本物の女神さまだわ。」
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