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バトル-390 [高校生バトル-39]

「詩織、今日はゆっくり村を案内して貰ったが結構な広さだね。」
「ここは産業が育つことが無かった地域なので土地は格安、広めに確保出来ました。
 ただ、インフラ整備はすべて自前で行いましたので初期投資はそれなりに掛かっています。」
「初期投資分ぐらいは直ぐに回収出来るのだろ、観光客で賑わっていたから。」
「まだ何とも言えません、私の滞在期間中は近衛がイベントを企画運営していますが、私達が次の地へ移動した後、この家が記念館的なものとしてどの程度機能し、各施設がどの程度の観光客を呼び込めるのか読み切れていないのです。」
「そうか、それでも村には農地や作業所が有り村人達の生活に問題は無いのだよな。」
「はい、元々の村人は僅かで、後は各地から集まった低所得者層が中心、衣食住を保証する代わり賃金は低く抑えていまして、こちらが養える人数を意識しています。」
「賃金が低くて労働意欲に影響していないのか?」
「衣食住に掛かっている経費を伝えていますし、寮はこの国の中流世帯が暮らしてる住居より快適、指導に当たってるスタッフと同じレベルの部屋ですので不満は言えないと思います。
 額は抑えめにしていますが真面目に働いてる人にボーナスを支給していますので皆さん熱心に働いて下さっています。」
「アメばかりで鞭はないの?」
「こちらでは用意していませんが、村人は大きなミスをすると反省の言葉をのべ、クビにしないで欲しいと懇願するそうです。」
「詩織は低賃金だと思っていても、彼らにとっては厚待遇な訳だ。
 今はほとんどが独身者と聞いたが、この先は?」
「どんどん結婚して貰って村の人口を増やして行きたいです、男女比に開きが出ない様に採用して来ましたので。
 子どもが生まれたら、次世代をどう育てて行くかと言う研究が始まると思います。」
「教育水準の低さが貧困を招きもする、この村の生活水準を守って行くのは大変そうだが、それを長期スパンで考え次世代へとか…。」
「資本主義の自由競争下で稼いで行きますが、実態は共産主義に近い形の村になって行くのかも知れません。
 株式会社SHIORIの社員として平等な村人によって構成される自治組織が、独り歩き出来るまでに時間は掛かると思いますが。」
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