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バトル-266 [高校生バトル-27]

「お兄さま、この国との話は早く進みそうなのね。」
「ああ、両国が互いに調査し準備を進めていた結果だよ、雅は旅の日程が変更になっても問題ないのか?」
「勿論よ、最後に追加されるのが一つ前の国だったら一人で先に帰るけど、ここのエリート高校生達は素適な人ばかり、詩織だけでなく私にも気を使ってくれてね、来年の夏はここで過ごすのも良いかなって。
 それまでには日本から美味しい物を輸入する体制が整うのでしょ?」
「日本からだけでなくアルトバルからもね、宗教上の制約に気を付ける必要は有るが大した問題ではないからな。
 アルトバルと違って裕福だから余裕を感じさせられているよ。
 日本食をこの国向けにアレンジしたレストランと、詩織関係のグッズを中心とした店は直ぐにでも準備に取り掛かることになるだろう。
 国王陛下は詩織と話した晩餐会後、高級ホテルの建設予算を直ぐに確定させたそうだから負けてはいられないね。」
「高級ホテルって…。」
「国のシンボルになる様な立派なものを建て、従業員の教育をしっかり行い観光客の中でも富裕層に喜んで貰えるホテルにしたいそうだ。
 従業員の教育を含めた運営にはこちらからノウハウを提供して行くことになるが、設計施工にも絡んで行くことになるかも知れない。」
「へ~、そんなノウハウ、うちに有ったの…。」
「はは、何の為の遠江大学だと思っているんだ、すでに公開出来る情報は全て大学関係者に向けて発表済。
 大学関係者の中には接客のプロも建築のプロもいるからな。
 ここで得られた利益の一部をこのエリアへの投資に充ててくれることを条件とさせて貰ったが、即座に反応してくれた人が何人もいてね。」
「アルトバルとは、また違った研究や実験が出来ると言うことかしら?」
「ああ、人間工学的に考えた設計プランとかね、この間泊まったホテルは床が濡れると滑り易かっただろ、綺麗なホテルでもそれではダメだと思わないか。」
「そっか、綺麗さと利用のし易さ、このホテルも悪くはないのだけど改善の余地は有りそうだわ。」
「コンセプトは何度でも行きたくなる高級ホテル。
 勿論建物だけでなくホテルマンのレベルも重要になるのだけどね。」
「そこで教育が、お兄さま達の高校生バトルを通して培って来たノウハウが活かされると言う事なのね。」
「まあな、とは言っても環境が違い国民性が違う、どうなるのかは事業を進めてみないとね。」
「バトルにはするのでしょ?」
「そうなると思うが、そこから競争にばかり目が行ってしまう恐れも有ってな…。」
「行き過ぎた競争社会にならない様にってことなのね、のんびり暮らしたい人がのんびり暮らせる社会、でもバランスを取って行くのは凄く難しそうだわ。」
「でもさ、アルトバルの貧困層は思ってたより楽しそうに暮らしてると感じなかったか?
 そこから、不満が一つ解消されたら、富裕層の様なプライドに縛られていない分幸福感が一気に上がると思うんだ。」
「そうね、お父さまから自分達の価値判断とは違う価値基準を意識する様にと言われてたことを忘れるとこだった、冷静に分析しながら研究して行くことが大切なのね。
 今後、遠江大学がどう関係して行くのかは興味が有るけど、大学のことは良く分かってないのよね、私。」
「そうだな…。」
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