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バトル-250 [高校生バトル-25]

「春子姉さん、今日は詩織達の友達に通訳して貰って貧困層の子ども達と話して来たのだけどね、やはり姉さんが通訳を通して聞いてた話とは違っていたよ。」
「若い子は正直に訳してくれたと言う事かしら?」
「だと思う、雅達が少し分かる様になったから誤魔化せないでしょ。
 雅と同い年の子は仕事がきつい割に収入が少ないとか教えてくれてね。」
「そっか、通訳を通しての調査では通訳に上手くかわされてる感が有ったのだけど、それで、そう言った子達に対して何らかの対応をして行くの?」
「直ぐにここのスタッフと相談を始めてね、一応英語の学習をしながら事務所の雑用を担当して貰う方向で、まずは三名ほどで始められないかと。
 彼らの日当を肉体労働で貰ってる額の倍にした所で大した金額ではないから、英語を教え職業訓練をしながらと言う形を考えてる。」
「三名ぐらいなら余裕と言うことなのね、職業訓練としては何をメインにするの?」
「観光客相手のサービス全般を学んで欲しいとは思ってるのだけど、それぞれの資質が分からないから農業改革関連の仕事も並行して学んで貰おうと思ってる。
 観光客向けにと試してる果物や野菜が上手く行きそうでさ。」
「ここの気候に合うものが見つかったのね。」
「土壌改良の結果でも有るんだ、ここの人達は農業に関する知識がなく、痩せた土地で栽培してるから収穫量が少なくてね。」
「隣国からの食糧輸入に貴重な外貨を使ってる現状は改善出来るのかしら?」
「多分ね、これから農場規模を拡大しつつ農家の人を雇用して行く方向で動き始めてるんだ。」
「プランテーション?」
「それに近いかな、でも栽培する作物は種類を多くして天災などによる不作のリスクを軽減し八百屋の品揃えを充実させて行こうと考えてる。」
「輸出は考えてないの?」
「まず儲けを考えられる観光客向けから。
 一通りの環境を整えられたら日本人シェフを招き、ここの人達に調理の修行をして貰うと言う案も出ていてね。
 質の良い、日本人観光客向けの料理を用意出来れば、他の国からの観光客にも喜んで貰えるだろ。」
「そうね、長期滞在と言うことも有るけど、結局自分達で料理した方が口に合うもの。
 日本レベルの食文化を定着させられたらリピーターも増えるでしょう。」
「雅と詩織、二人で作ったカレーが好評だったからね、ルーは市販のを使ったのだけど。」
「ここの料理って香辛料の使い方が日本人向きでは無いと思ってたけど、彼らにも合っていなかったのかしら?」
「はは、それは無いと思うけどアンテナショップで日本式の料理を試してみることにしたんだ。
 新店舗のオープンに向けて、お祭りで好評だったたこ焼きとかと一緒にね。」
「う~ん、ここの食文化が一気に変わりそうな気がするわ。」
「出来ればそうしたい、今までここには無かった美味しい物を食べる為に仕事を頑張ってくれたら、経済活動が活発になると思わない?」
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