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バトル-229 [高校生バトル-23]

「市役所の他は何処へ?」
「私達の班は変わり行く街をテーマに工事してる所を回りました。
 リニアの建設現場近くでは英語での解説を一緒に聴かせて貰えたのですよ。」
「理解出来た?」
「はい、知らない単語が出て来ましたが、分かり易く話して下さったのでなんとか、友達の勇者が英語で質問してくれたりもしまして。」
「いいね、そうやって英語を使って行かないとな、チーム妹のメンバー同士で英会話をしていても話題が限られるだろ。」
「ですね、バカンスの時は私も積極的に英語で話しかけたいと思っています。
 でも、英語が話せる人ばかりではないそうで。」
「英語の話せる現地の人達と交流出来る様に、我々の案内をしてくれる人達に頼んでおくよ。
 スタッフからの報告だけでなく、現地の人から直接聞いておきたいことも有るからな。」
「やはり価値観とか違うのでしょうか?」
「と思うんだ、こちらの価値観だけで判断してしまうのは間違いの元だろうね。」
「う~ん、アルトバルではリニアを高架上に作るぐらいなら、中古でも良いからバスが欲しいとか…。」
「綺麗な洋服より兎に角食物をと言う人もいるみたいだ、遠江王国では減ってる筈だけどな。」
「価値観以前の問題ですね、高校生部会の調査では、少なくとも市内の小中学生は食べ物に困らない状態に出来てるそうですが。」
「プライドが邪魔して支援活動を上手く活かせていない人がいると聞いたよ。」
「アルトバルでも同じでしょうか?」
「いや、プライドなんて言ってたら生きて行けないみたいでね。」
「変に気を使わなくて良いのならかえって楽に支援出来るかもです。」
「ただ、恵んで貰うことに慣れ過ぎていると自立への意思が弱くなりかねないし、字の読めない人もいる、上手くサポートして行くには難しい問題が少なからずあるみたいでな。
 雇用の拡大に成功すれば良いのだが、経済面で急激な変化を起こすと今まで安定していた分野が不安定になりかねなくて。
 穏やかに着実に、が理想なのだけど経済活動は人心によって左右されることだから課題は山積みさ、それだけに成功出来たら他への弾みになると、遠江大学経済学部では様々なシミュレーションを考え始めていているよ。」
「本格的な研究になるのですね。」
「ああ、今までそんな研究自体あまりされて来なかったが、アルトバルでならシミュレーションの結果を元にして試してみることも可能でシミュレーションの精度も確認出来そう、勿論社会問題の解決も絡めて検討して行くことになるけどな。」
「アルトバル国政府は協力的なのですか?」
「うん、成功させて小さくても安定した国にしたいと、政府からも遠江大学への参加が有り情報交換してる。」
「入試の無い大学でも研究の目的がはっきりしてると言う事で…、日本の国公立大学などからの参加が増えてると聞きました。」
「面白いよな、大学らしい建物は建設中の研究所ぐらいなのに、参加者がどんどん増えて。
 僕は日本の大学を受験せずに遠江大学に参加、でも先日発表した論文は高く評価して貰えた、もし受験に時間を取られていたら論文を書く余裕は無かったと思うんだ。」
「著名な大学に入学出来たと言う肩書なんてお兄さまには不要です、でも、このままネット上に存在する遠江大学が質を高めて行ったら大学の有り方を考え直すことになるのでしょうね。」
「参加しても日本の大卒資格は得られない、その代わり力を認められれば国内外の優秀な人達との交流が可能になるからな。
 すでに遠江大学を核とした共同研究が国を超えて幾つか始まってるのだけど、それには中高生も参加していてね、大人達は大学生より知識が豊富で熱心だと褒めてるよ。」
「誰でも参加出来る大学だけど、研究室には実力を認められないと入れず見学者にしかなれないのでしたね、早くから認められることは自信にも繋がり…、ネット上での意見交換なら年齢なんて関係ないのかも知れません。」
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