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バトル-225 [高校生バトル-23]

「三郎、アルトバルの教育について、遠江大学が動き始めたそうね。」
「うん、早い段階から話は出ていたのだけど、アルトバルにとってプラスとなる教育を、大学にとっては日本では出来ない実験的取り組みをと議論を重ね、形がまとまったんだ。」
「日本では出来ない?」
「母さん、日本の義務教育は中学までだけど高校進学が当たり前の様になってるし、大学に進学する人も多いでしょ。
 でも、個人の能力によってはそこに無駄が有るのではないかと遠江大学教育学部では考えられて来たんだ。
 どういう教育が理想なのかは個人差が有り過ぎて結論が出にくいのだけど、アルトバルの裕福ではない層に対して生活改善を手伝いながらなら、思い切ったことが出来るとなってね、何と言っても識字率は60%程度だから。」
「そう言うレベルなの…、それだと基礎教育からになるのね。」
「勿論読み書きや基礎計算は必修になるけど、能力別の指導を職業訓練と並行して行う予定、能力の高い子には遠江大学に参加することを意識して貰おうと考えいてる。」
「遠江大学に参加となると、ネット環境は大丈夫なの?」
「富裕層は普通に使えてるのだから学校で使える様にするぐらいは難しくないと思う。
 こちらで中古パソコンを集めメンテナンスして送り、英語と数学に真面目に取り組める子に使って貰うと言う話が進んでるよ。
 英語が苦手ではネットを利用した学習が出来ないからね。
「もしかして通信教育を考えてるとか?」
「効率が良いでしょ、現地にアドバイザーは置くけど、学力レベルの高い子に対しては日本に住む遠江大学教育学部のメンバーがアドバイスして行く予定なんだ。」
「技術系のことでもネットだけで伝えられるの?」
「その必要が出て来たら現地へ教師を派遣か留学になるのだけど、まずは政治経済のリーダーや教員の育成をと考えていて、所謂技師の育成は後回しにするつもりなんだ。」
「そっか、でも低所得者層を対象にして能力の高い子はどれ程いるのかしら?」
「今は少ないと思う、基礎教育を充実させてからでないとね、小さく始め少しずつ拡大して行く過程で富裕層が興味を示す様になれば展開が早まるかも知れないけど。」
「予算面は?」
「まずは学校と言うより小さな塾レベルでスタートなんだ、でもボランティア講師候補の人数はすでに百人を超えていてね、その中には観光を兼ねての現地滞在を考えてる人もね。
 ネットでは相手をすることが難しい子達の様子を直接見て検討してみたいと言う人もいるんだよ。」
「大切なことだわ、日本では成績優秀者に目が行きがちだけど社会を構成してるのはそんな人ばかりではないものね、私達のバカンスでも時間を作って現地の学校を見て来ようか。」
「僕らは始めからそのつもりだったのだけど。」
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