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バトル-160 [高校生バトル-16]

「三郎、坂田さん夫妻には新会社の社員になって貰うのね。」
「うん、春子姉さんも彼らの仕事ぶりは見てたでしょ。
 集落の管理業務は農業公園の管理業務と通じるところが有り、適任だと思ってね。
 奥さんは若い頃経理の仕事をしていたそうなので事務をお願いすることにしたよ。」
「ここから何人雇えるかが勝負ね。」
「YouTubeと販売会社で稼いで農業公園の運転資金にと考えてるけど、先行して始めた新チャンネルは順調に登録者数を増やしていてね、番組によってタイプの違う妹が登場と言うのが良いみたい、詩織や雅も人気なんだ。
 必要経費を差し引いても、直ぐに百世帯ぐらいは養える様になると思うよ。」
「一億プラスYouTubeの収入でスタートで有っても、多くの家庭を貧困状態から中流と呼べるレベルまで引き上げるのは簡単ではないでしょ。」
「勿論甘くはない、トラブルを起こす人も出て来るだろうしね。
 坂田さんと話してるのは、とにかく適材適所だけど、どうしても妥協して貰う必要が出て来ると言うこと。
 それには社会の一員としての意識改革を上手く進める必要が有るのだけど、簡単ではないと思う。」
「そうね、それでも衣食足りて礼節を知ると言うでしょ、生活環境が良く成れば意識改革出来る確率が上がると思うわ。」
「そうなると良いけど。」
「楽観視はしてないのね。」
「現状の調査報告を見てるとそんな気にはならないよ。
 病気で働けない人もいるし。」
「さすがに雇えないか。」
「子どもに働く意思が有れば…、でも子どもが働いて家計を支えると言う形にはしたくない。
 望ましいスタイルを模索して貰ってる最中さ。」
「三郎は社長としてどうなの?
 やってけそう?」
「まあね、計画発表以降協力を申し出て下さる方が多くて、本業に余裕の有る人達がボランティアで動いて下さってる、感謝しかないよ。」
「私達が資金を出しながら苦労を背負い込んでると認識されてるからでしょ、資金の流れを明確にしてることも有って。
 その結果、私達がYouTubeで稼いでる額は世間を驚かせたみたいだけど。
 三郎、その辺りのことが今度週刊誌に取り上げられるしテレビ局からの取材依頼も来てるのよ。」
「う~ん、ネタとして面白いのかな?」
「沢山稼いでる人の話題は少なくないけど、稼いだお金を溜め込まず社会の為に使いまくってる私達は珍しい存在でしょ。」
「まあ、標準家庭より贅沢な暮らしをしつつ『足るを知る』と言うお父さんの言葉を当たり前だと思ってるからだけどね。」
「その気持ちが人に伝わり協力を得られ更に収入が増えてる、でも使い道は限りなく有るのよね。」
「だね、昨日は持て余してる山林を安くて構わないから買い取って欲しいって言われたよ。
 安く買っても今以上に荒らさず維持して行くには費用が掛かりそうなのだけど。」
「買ってあげるの?」
「会社の所有にするとお荷物になりかねない、でも、総合公園を起点に農業公園からそこを通る遊歩道を整備、自然林と人工林を組み合わせ四季折々の景観を楽しめる状態に出来たら観光資源に出来るかもと考えてるのだけど、春子姉さんはどう思う?」
「そうね、材木の値段が下がり山林の持つ経済的な価値は下がったけど公園として…、うん、公園として整備し残して行くのは有りだと思うわ、問題はどのお財布から出すかってことね。」
「お願いされた土地を買うだけなら僕のお小遣いで何とかなるけど、問題はその後だな、さすがにボランティアでお願いとは行かないでしょ。」
「整備工事を地元の業者に頼むのであれば地域の活性化に繋がる、みんなも前向きに考えてくれると思うわよ。」
「そう言えば、業者の人から、ボランティアの活躍で市から請け負って来た公園整備関係の仕事が減ると言う話を耳にした。
 その代わりの仕事としてお願い出来れば丸く収まり、綺麗な森が生まれるのかな。
 総合公園から農業公園予定地を通って二キロぐらいだから、実質的に総合公園を大きく拡大することになるね。」
「大きく広がれば観光客の目にも留まり商売繁盛に繋がる、初期投資はケチらずにすべきかも。」
「うん、土地を買う前提で整備計画の素案をまとめて貰うよ。
 総合公園周辺の整備計画も少し変更かな。」
「いっそ山を買いまくって大規模な自然公園にしてしまうとか。」
「う~ん、取り敢えず遊歩道だけを整備なら出来なくもないか。
 山林を買い取って欲しいと言う人は、貰って欲しいに等しい額を提示して来たからね。」
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