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バトル-148 [高校生バトル-15]

「三郎、雅の部屋は静かね。」
「うん、今は雅が自分の経験を話してる、彼女のことは僕の妹達に任せておいて間違いないと思うよ。
 それより、これから彼女の父親が来てどんな話になるかが問題でしょ、お母さんはどう思う?」
「そうね、中学一年生から聞いた情報だけでは判断しづらいけど、市長に任せておけば大丈夫だと思うわ。
 話を聞いた限りでは転職に失敗してからの転落で暴力的に、でも市長からの電話には乱暴な言葉を発することは無かったのだから…、三郎は彼の今後に対して、何か提案する用意は出来てるの?」
「それはお父さんが話してくれるよ、貧困層への具体的な支援については、この所二人で話し合って来たからね、市として出来ることと出来ないことが有るけど、市として出来ないことでも高校生部会でなら出来るかも知れないし僕らの会社を利用しても良いでしょ。」
「そうね、組織の力は…、あっ、お見えになった様ね。」

「うちの娘がご迷惑をお掛け致しまして…。」

「…、ではよろしくお願いします。」

「お父さん、人って分からないものだね。
 話しを聞いていて娘を殴る様な人とは思えなかったよ。」
「だな、人間、ストレスを抱えると変な衝動が沸き起こるのかも。
 あの子達はどうしてた?」
「彼が反省してる様だったと話したら、ほっとしたみたいでお泊り会モードになったよ、明日は休みだからね、彼女のあざに気付いてくれた美香ちゃんも嬉しそうにしてた。
 でも、この後は彼女達のお風呂タイムだから気を付けてね。
 美香ちゃんの両親が着替えとかを用意して持って来てくれたんだ。」
「はは、私も娘達に嫌われたくは無いからな、三郎の妹は私の娘だろ。
 勿論市内に住む子ども達は全員私の子どもでも有るけどな。」
「うん、美香ちゃんは市長ってもっと偉そうに話す人だと思ってたそうだけど、僕のお父さんなら自分達のお父さんだと話してたよ、自分の父親よりうんと格好良くて素敵だってさ、娘の話を聞いて梢ちゃんの着替えにまで気を使ってくれる良いお父さんなのにね。」
「はは、照れるし、お父さんには申し訳ないな。
 それで、三郎は梢ちゃんのフォローをどう考えてる?」
「まずは、あのお父さんが市長からの提案に対してどんな結論を出すかでしょ。」
「そうだな、この集落で体を使う仕事をしながら職探しをすると言う提案に対して…、生活が極端にみだれ始めて間がなかったみたいだし、まだ借金が大きく膨れ上がる前だから何とかなるとは思うのだが。」
「周りに相談出来る人がいなかったみたいだったね。」
「転職して高収入を目指したのが失敗、プライドが邪魔したのだろう。
 一応、ここで働らきながら気付いたことが有れば私達に提案して欲しいと彼のプライドを守る配慮はしたつもりだが。」
「僕の目には立ち直る切っ掛けが欲しかったみたいに見えたよ、美香ちゃんが気付かなかったら問題解決の糸口すら見いだせなかったのは梢ちゃんだけでなく、あのお父さんもだと思う。
 奥さんと話し合って出来れば夫婦で働くと言うのが上手く行けば安心だけど。」
「だな、梢ちゃんの方はチーム妹のメンバーになるのか?」
「どうかな、チーム妹はハードルを高くしてるでしょ、貧困家庭の子を受け入れる形は景子リーダー達と相談してるのだけど、別のグループにするか…。」
「チーム妹が面倒を見て行くグループと言うことか?」
「結構難しくてさ、ほんとはチーム妹に迎え入れて行くのが一番良いのだろうけど、彼女達はチーム妹の質を落としたくないと考えていてね、それを否定したくないんだ。」
「一つのステータスシンボル、プライドを守ることも必要だからな。」
「だからと言って…、お父さん、人間関係ってやっぱ難しいよ。」
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