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バトル-129 [高校生バトル-13]

「遺伝的にか…、詩織、最近一つの仮説を立てていてね。」
「仮説ですか。」
「将棋の藤井聡太さんは『考えすぎて、頭が割れそう』と幼稚園のときに言っていたそうだが、同じ年頃に雅は新しい父の事で凄く考えてたと言う、詩織も知育玩具にハマり考えながら遊んでたと佐伯さんから聞いていてね、幼少期に沢山考えた経験が知能の発達に大きく関わってるのではないかと思ってるんだ。」
「普通に考えたら、当たり前のことでは無いですか?」
「まあね、でも暗記との因果関係も考えていてさ。
 考えることと記憶することは、どちらも頭を使うが違う作業だろ。」
「そうですね、脳の使い方は全く違っていそうです。」
「今の学校教育は記憶に偏ってる気がしてね、学習塾の弊害かも知れないけど、高校入試に向けての数学でさえ、問題の解き方を沢山覚えてクリアするとか、つまり考えるのでは無く暗記することで高得点を目指す、勿論、そんな学習法は高校生になり学年が上がるにつれて通用しなくなるのだけどね。」
「はは、数学は自分で考えて答えを出すから面白いのに。」
「詩織は幼児期の経験が生きているから考えることが好きになったのかもな。」
「う~ん、考えたこと無かった…、でも面白い玩具が有って、今でもたまに遊んでるのですよ。」
「うん、佐伯さんに聞いたよ、実は僕も同じのをね、真愛ちゃん達にはまだ早過ぎるけど叔父からのプレゼントとして注文して有るんだ。」
「いくら何でも早過ぎでしょ。」
「なに、姉さん達も興味を持ってるから育児の合間に遊んで貰えればとも思ってね。」
「そっか、姉さま方ならちょっとした息抜きになるかも。
 お兄さまの仮説は幼児期限定なのですか?」
「まあな、考える力がどう伸びて行くのかはデータを取りにくいし個人差も大きそうだろ、論文のテーマにはしにくいと思って、仮説止まりなんだ。
 真愛ちゃん達の成長を通して少しは確認してみるつもりだけど、二人の内どちらかを力が伸びないであろう環境に置く訳には行かないからね。
 人の能力は遺伝と成長過程の環境に左右されるのだけど単純な話では無いだろ。」
「遺伝の部分もですか?」
「うん、能力の高い親は、子の教育に適した環境を整えることが可能だと思わないか?」
「あっ、そうか…、そう考えると遺伝による能力か環境によって得られた能力なのかは分からない。
 それなら…、遺伝的に劣ると思われる子に高度な教育を施してみるとかはどうです?」
「そうだな、可能なら試してみたい気もするが親の存在は大きいだろ。
 教育を始める前の段階で、環境による差がついてしまうかも、効果の程は分からないが胎教とかも…、胎教って知ってる?」
「ええ、お姉さま方もお腹の子に音楽を聴かせるとか、生まれる前の環境…、あっ、親の食生活とか飲酒喫煙とかも影響するのかな…。」
「それと高度な教育と言っても、幼児向けの早期教育はメリット、デメリットの検証が難しいみたいでね。」
「そう言えば、姉さま方は読み聞かせを中心にと話してましたね、特別な早期教育は考えてないと言うことでしょうか。」
「うん、例えば九九を五歳で覚えたら凄いかと言うと、小学生になったらみんなが覚えるだろ、単に早く覚えたと言うだけでメリットは無い、でも、その暗記に脳を使うことで能力が伸びてるのならメリットが有ったと言える。
 ただ、暗記が出来ても考える力はそれ程でも無い子がいるじゃないか、暗記すれば点が取れる教科に強くても数学の様な論理的に考えることは苦手とか。」
「私は人より早く九九を覚えたりしなかったけど、数学得意なのはお父さんからの遺伝だと思ってた。
 でも遺伝と環境の割合がどうなのかは、簡単に判断出来ることではないのですね。」
「そう言うこと、まあ、詩織ちゃんがお父さん似と言うことは遺伝が関係してるのだろうけどな。」
「よく言われます。」
「目元とかね、でも、癖が似てるのは遺伝とは関係ないかも。」
「え~、癖とか意識してませんでした、どんな癖です?」
「まあ、微笑ましいことだから気にしなくて良いよ。」
「も~、気になるじゃないですか~!
 教えて下さいよ~。」
「はは。」



出典
 藤井聡太棋士に関して
  https://book.mynavi.jp/shogi/detail/id=66116
 まだ数々の記録を塗り替える前、中学生棋士としてプロ入りしたばかりの頃の記事です。
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