SSブログ

バトル-93 [高校生バトル-10]

「この公園の改修か…、やるなら思い切ってやりたいね、市の予算を当てにせずに…、どうせなら貧困対策とかも絡めてってどうかな?」
「次郎には策が有るのか?」
「今は全く無いが、公園管理ボランティアを上手く組織化出来たら今後の市政にとってプラスになると思う。」
「そうですね、余暇イコール娯楽では無いと思うのです、一郎は仕事が楽しいそうで、一見ぼーっとしてることも有るのですが、そんな時でも仕事の事を考えてるのですよ。
 退職された方でも社会に貢献出来る作業は、大きな負担にさえならなければ余暇の過ごし方として悪くないと考えられるのではないでしょうか。」
「友香さん、市長としても楽しく活動出来るボランティアは進めて行きたくてね、この公園の管理と言う問題は市政の観点で見ても微妙な部分が有ってね。」
「微妙なのですか?」
「裕福な自治体なら年間を通してしっかりとした管理作業を行えるが、ここは見ての通り、春子が予約してから調べてみたのだけど、ここの予算は他の自治体と比べても最低レベルなんだ。
 無意味なお城建設計画はストップさせるが、他にも予算を必要とする課題が有り、公園の維持管理費を大きく増額とは行かないのだよ。
 近所の児童公園も草が生い茂っていて、公園で遊ぶ子どもの姿を見る事も少なくなっているとは言え何とかしたいのだけどね。」
「子どもの人数自体が減ってるし、遊びも…、私達が子ども頃だってゲーム機に夢中になってる子ばかりで、ふふ、三郎には自然を感じて成長して欲しいって、私達って随分生意気な子どもだったよね、一郎兄さん。」
「はは、そんな事を言いつつゲームを作る事にも興味を持ってたのだけどな。
 今にして思えば、親父の掌の上だったのだと思うね。
 知的好奇心を多方面から掘り起こされて今の自分が有ると思うんだ。」
「雅は僕たちが何もしなくても好奇心旺盛だね。」
「なんかな~、三郎兄さまは私がついて行けない話題になったから気を使って下さったのでしょ…、真子姉さま、私が三郎兄さまのことが大好きになっても仕方ないよね。」
「そんな事分かってるわよ。」
「うっ、雅ちゃん御免な、少し雅ちゃんを無視して昔話しをしてました…。」
「ふふ、そうやって気遣って下さる次郎兄さまの事も大好きですよ、私はお兄さま方のお話を聞かさせて頂く事が楽しいのですから気になさらないで下さい。」
「雅の方が大人かもと思える今日この頃だけど、詩織と雅は私達義兄弟姉妹の一員となる覚悟は出来てる?」
「雅はまだ皆さんに心を開き切れて無いかも知れませんが、ここに集いし方々の思いは三郎兄さまの導きも有り、共に学習しています。
 これからも、ただ知識を得るだけの学習ではなく、多くを考え、人として学ぶ姿勢を変える気は有りません。
 今は会社のお手伝いをさせて頂き始めたばかりですが、社会に奉仕する役目を担って行く覚悟は出来ています。
 雅共々皆さんの義兄弟姉妹、その末席に加えて頂けたら幸いです。」
「詩織…。」
「佐伯くん、良い子に育ちましたね。」
「はい社長、東京から引っ越して来るのには抵抗が有ったと思うのですが皆さんに可愛がって頂きまして、雅ちゃんとの出会いも視野を広げることに繋がりました、雅ちゃん有難うね。」
「そんな…、私にとって初めて友と呼べる存在です。」
「三郎、二人は私の孫で有りながら義妹でも有ると言うことで良いのかな。」
「はい、とても大切な妹達です、よろしくお願いします。」
「では、もう過ぐ桜の季節だから、義兄弟姉妹誓いの儀式は桜の下で行いましょう、全員和服着用でどうかしら。」
「桜の開花と天気に合わせてのスケジュール調整はお父さまと佐伯さん一郎が大変そうですが最優先にして貰いましょう、着物の方は麻衣さんにお願いして良いかしら。」
「友香姉さん、任せて下さい、二人なら春子のが似合いそうだけど、気に入らなかったら貸衣装、明日決めてしまいましょう。
 次郎は場所の確保と…、足元がブルーシートでは駄目よ。」
「分かった、それなりのセットを組み演出を考えて貰う。」
「次郎兄さん、誓いの盃には出来ないから、誓いの何にする?」
「そうだな、詩織ちゃん雅ちゃん、義兄弟姉妹の一員となると心に刻み付ける儀式的なことに何か希望は有る?」
「う~ん…、雅、皆さんに抱きしめて貰うってどう?」
「うん。」
「大好きなお兄さまやお姉さまに抱きしめて貰うなんて大人になったら出来ないでしょ。」
「うん…。」
「もう、雅ったら泣かないでよ。」
「真子姉さま…。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。