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バトル-92 [高校生バトル-10]

「ねえ真子、この施設使うの、私は小学生以来なんだけど、前からこんなに使い勝手が悪かったのかしら。」
「ですね、子どもの頃は疑問を抱きませんでしたが、大人が利用するには中途半端な気がします、利用料金が安いから、その分制約も有るという事でしょうか。」
「もっと快適に利用できる様になったら料金が高くても利用者が増えると思わない?」
「ですね、もう少しお洒落な感じにして食材の準備を店に頼めるシステムも用意するとか、自分達で買い出しをするのも楽しいですが、気軽にバーベキュー、と言うのも利用者を増やす事に繋がると思います。」
「うん、人気が無いから今日は簡単に予約が取れたのだけど、市民の為の施設なのだからね…。」
「春子、難しそうな顔をしてどうかしたのか?」
「あっ、お義父さま、ここは使い勝手が悪くて利用者が少ないみたいなのですよ。」
「貧弱な施設だとは感じたが、改善の余地が有るのか?」
「有りまくりです、肉や野菜を切るスペースが狭いだけでなく水場が離れていて、更に駐車場から食材を運ぶのが大変でした。」
「そうか、食べる専門の私では気付かない所に問題が有るという事だな、で、どうするんだ?」
「みんなで改善案をまとめて、前にお話しした私達からの条件付き寄付で大改修と言うのは如何でしょう?」
「そうだな…、うちの社員にも改修されたら利用するか聞いてみようか、若者が利用するので有れば我が社としても宣伝効果が期待出来る。
 ただ、この公園自体が魅力に乏しいと思わないか、今回誘われなかったら一生来なかったかも知れないぞ。」
「ですね、私も久しぶりに来たのですが、市の施設を利用してみようと考えなかったら使おうとは思わなかったです。」
「周辺も耕作放棄地が目に付いたりして、この地の勢いの無さを象徴してるみたいだな。」
「悪循環の結果でしょうか…、お父さんが市長になったのだから変えて行きたいですが、限りある予算を公園整備に費やしたら批判を浴びそうですね。」
「我々が寄付すると言っても限りが有るからな、そうなると出せるのは知恵しかない。」
「えっと…、なるべくお金を掛けないで公園とその周辺を綺麗に整備して行く方法ですか…。」
「庭いじりや家庭菜園を趣味にしてる人は居る…、真子ちゃんのお婆さんもそうだろ。」
「はい、趣味と実益を兼ねながら健康維持にも効果的だとか、欲張り過ぎずマイペースが一番だと話してます。」
「公園管理ボランティアとなると二の足を踏む人が多いのかな…。」
「春子さん、そこに付加価値を付けられないでしょうか?」
「例えば?」
「作業は一日一時間とか短めにして、後はお茶したり軽いスポーツをしたり、一人が月に二回でも人数が集まれば、作業時間が短くても結構綺麗になると思うのです、中には趣味として木の剪定に取り組みたいと言う人も居ると思います。」
「そうだな、プロの指導の下にと言うのはどうだ、素人ばかりでは考えの違いとかでトラブルに成り兼ねない、ボランティアで作業をしながらプロの知識を学べるのなら、うちは庭師に任せ切りだが、私も興味は有る。」
「お義父さま、老後の楽しみですか?」
「いや、老後でなくてもね、最近は佐伯くんや一郎のお蔭で気持ち的にも余裕が出来たからな。」
「例えばあの生垣だけ、年間を通してお義父さまが管理するとしたら、ボランティアとしての負担と楽しみのバランスはとれますか?」
「やるなら一人ではやらないよ、朝、少し作業してゴルフに行くとか夕方作業してから飲みに行くとか…、でも可愛い孫が手伝ってくれたら楽しいだろうな。」
「雅、お爺さまは孫と作業をしたいみたいよ。」
「えっ、何のことですか?
 そろそろ乾杯するからと呼びに来たのですが。」
「雅は、そこの生垣を管理しなくてはならなくなったらどうする?」
「生垣の管理ですか…。
 う~ん、何をすれば良いのか分からないので、取り敢えず三郎お兄さまに相談します。」
「三郎が生垣の管理に詳しいとは思えないのだけど。」
「大丈夫ですよ、一緒に調べてくれますし甘える口実になりますから。」
「妹だからって私の、こ・い・び・と、に甘え過ぎないでよね。」
「私のお兄さまはお優しい方ですから、自然と私の想いを受け止めて下さるのです。
 最愛の兄がお姉さまに夢中なのは分かりますが、私だって何時までも胸が小さいままとは思わないで下さいね。」
「はいはい、茶番はそこまで、真子、雅、行くわよ。」
「は~い。」
「はは、今のはどういう茶番なんだ?」
「ミュージカルで、三郎を取り合う恋人と妹という設定で行く予定なのですが、雅は愛人の座を狙ってましてね。」
「小学生が愛人ね…。」
「雅は本を沢山読んでいるので、そう言ったことにも触れているのですよ、性教育も私達でしています。」
「ふむ、今までの爽やか路線からチェンジして行くのか?」
「私達のミュージカルはリアルに基づいたフィクションですが、少し背伸びしたい年頃の子ども、その恋心を上手く描けたら、総視聴回数が伸びると思うのです。」
「そして新規の視聴者は過去作も見るのだな。」
「ええ、そこがYouTubeの強みですし、選挙関連で目立った事が高校生バトルの利用者を増やす事にも繋がっているのですよ。」
「だろうな、うちの売り上げにもプラスになったぐらいだ。
 この公園の再生もネタとして上手く演出して映像公開して行けばと考えているのだろ?」
「そのつもりですが…、このエリアでの活動で利益を上げられたら市の活性化にも繋がりませんか?」
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