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バトル-82 [高校生バトル-09]

「客観的に見て?」
「はい、将来的にYouTubeで使うかも知れないからと雅ちゃんの了解を得て撮影してる映像を見比べたのです、来たばかりの頃と最近のを、そしたら、表情や話し方にはっきり分かる変化が有ました。」
「生活環境や人間関係が劇的に変わったからな、それは結構貴重な記録になるかもね。」
「残念なのは過去の映像が無く写真も少ないと言う事です、太一くんのはそれなりに有るのですが…、お父さんはかなり心の狭い人だったみたいです、彼自身が孤児だったと言う過去がそうさせたのかも知れません。」
「負の連鎖だろうな、貧困家庭で育った子は成長しても貧困に陥り易いと聞いた事が有る、雅ちゃんだって養護施設で育ったら持ってる才能を正しく活かせないで苦しむ将来が…、俺達は絶対そうはさせないけどね。」
「はい、学校に通って無い事をハンディでは無くメリットにしようって話してます。
 それでですね、世の中には環境を変える事が出来たら、良い方向に変われる人が結構いるのでは無いかと思いまして。」
「だろうな、俺達も親としての経験を積んで余裕が出来たら里親になったり養子を向かえる事は意識してる、まあ、人数に限りは有るけどね。」
「そう言う子ばかりでなく…、少年院へ行って更生する人も居るじゃないですか、でも、少年院に入らなくてはならなく成る前に…、また、理由はどうで有れ環境を変えたいと思ってる高校生もいると思うのです。
 私達の高校は市立ですから、お父さまが市長になられたら、国内留学を受け入れることが可能になると思いませんか?」
「国内留学か…。」
「期間を自由に出来ると良いです、うちは進学校という訳では無く、生徒の学力には幅が有ります、概ねうちに合格出来る実力と言うのを基準とすれば、受け入れ対象に出来る人は少なく無いと思うのです。」
「住む所はどうする?」
「三郎が調べたら、高校の寮に出来そうな施設が幾つか見つかりました。
 市で予算を組んで貰って改修する必要は有りますが寮生活と言う環境を求める人も居るのではないでしょうか。」
「市にとってのメリットが無いと大人は動かないぞ。」
「メリットは有りますよ、無料でご招待する訳では有りませんから単純な経済効果、家族が遊びに来るかも知れませんし、高校時代の一時期をここで過ごす事によって…、そうですね第二の故郷にしてくれるかも知れません、その辺りは市民がどう接するかにもよりますが。」
「そっか…、ここの高校生にとっても良い刺激になるかもな。
 う~ん、選挙を有利にするネタでは無いが検討して貰うよ、都会から来る連中には農業体験もして貰うかな。」
「良いですね、地方の問題も考えて貰って、東京一極集中についてとか考えて欲しいです。
 そろそろ市長選の告示が近づいてますが、準備に問題はないのですか?」
「大丈夫だと思う、強力な対立候補は出て来なさそうで、実質、現職との一騎打ちになると思っている。
 まあ、選挙運動は何もしてないのに、口コミで広がり、お父さんに一票入れますねと声を掛けてくれる人が結構いるし、表立っての選挙運動はまだ出来ないが裏での根回しは進んでいてね、君のご両親の様にボランティアで協力してくれる人は充分な人数になってるよ。」
「少し気になってるのは、市長選を踏まえて雅ちゃんの話を公表するタイミングなのですが。」
「俺としては本人がYouTubeデビューを希望するまでは特に何もしないと考えていたのだけど。」
「そうですね…、雅ちゃんは家からほとんど出てないみたいですが、太一くんは学校へ通っていてどうなのでしょう、同級生の親には学校サイドが事情を説明してくれたそうですが。」
「そうか、変な噂が広がりそうなら考える必要が出て来るのかな、後で雅ちゃんと相談しようか。」
「今日は時間が有るのですね。」
「ああ、兄としての時間も持たないとな、三郎には敵わないとしても兄貴には負けたくないんだ。」
「ふふ、大輔兄さんはおやつの差し入れで点数を稼いでますけど。」
「えっ、奴は餌付けに走ってたのか、油断してたな…。」
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