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バトル-81 [高校生バトル-09]

「真子ちゃん、佐伯さんとこの詩織ちゃんと雅ちゃん、仲良くやってる?」
「はい、詩織ちゃんも雅ちゃんも読書家だからか話が合うみたいです、最近は詩織ちゃんが学校の図書室で借りて来た本を雅ちゃんも読んで、何だかんだと楽しそうに話してます、二人の視点が随分違ってて面白いのだとか、これまで育って来た環境の違いが有りますからね。
 次郎兄さんが二人に贈った本は兄弟全員が読んだ本だと知って、私達との話題にもなっていますよ。」
「少し難しいかもと思ったのだが良かったのかな。」
「背伸びしたい年頃ですからね。
 詩織ちゃんも雅ちゃんの事情を知って色々考えてるみたいですよ。」
「佐伯さんが話して下さったのかな。」
「それも有るでしょうが、雅ちゃんが自分で話してました、隠す気は無いからと言って。
 それが詩織ちゃんも嬉しかったみたいで意気投合し、昨日は二人で義理の姉妹になる話をしてましたよ。
 何時如何なる時も三郎兄さまを兄と慕い、なんてね、詩織ちゃんは三郎にお兄さまって呼んでも良いですよねって聞いてました。」
「はは、みんなの弟から、みんなのお兄さまになってくのかな、三郎は。」
「でしょうね、今の小中学生が私達の活動に関わり成長して行けば自然と。」
「雅ちゃんの学習面はどうなの?」
「お母さまが小学校転校の手続きをした時に事情を説明し、当分の間登校しないけど学習プリントなどは取りに行くことにしたのです。
 それを詩織ちゃんが届けてくれる事になりまして。
 その流れから詩織ちゃんはテストだけ他の子のいない部屋で受けることを雅ちゃんに提案し、先生とも相談してみると話してました。」
「へ~、さすが詩織ちゃんだな。」
「本心は、学校へ行かなくてもテストで高得点が取れることを雅ちゃんに証明して欲しいとか、そしたら春子姉さんも、我が妹よ、学校を必要としない子が居ると教師どもに見せつけてあげなさいと。」
「何か企んでいそうだな、雅ちゃんの反応は?」
「他の児童や教師との人間関係に気を遣うのはとても嫌だけど、事務的にテストを受けて来るだけなら問題ないそうです。」
「やはりいじめられてたのかな…。」
「多分…。」
「まあ、みんなが学校へ行ってる時間帯に学校のプリントやドリルをしているのなら安心か。」
「いえ、小学校の課題は簡単に終わらせて、もっぱら中学の内容に。
 お手伝いや学習のスケジュールは自分で考えて取り組んでいるのですよ。
 学校へ行かずパソコンが自由に使えるから学習効率がとても良いと話していました。」
「へ~、養護施設の問題児は我が家の優等生になったのか。
 優等生にはご褒美を上げてるの?」
「私達とのハグを楽しそうにしています、母親にも甘えにくかったみたいで。」
「俺には抱き着いて来たことなんてないぞ。」
「春子姉さんとお母さま、それと私が担当ですからね。」
「三郎とは?」
「三郎は初恋の人だと告白してくれましてね、でも恋人ではなく妹として歩んで行く決意をしたそうで、まあ、ドラマの見過ぎでは無く本の読み過ぎって感じですが。
 一応胸が大きくなるまでは三郎とのハグを許したのですが、どうしようも無く嫌な事を思い出し気持ちが落ち込んだ時だけにすると話してまして。
 三郎が彼女を慰める担当になった訳ですが、その回数は減りつつ有ります。」
「心が穏やかになって来たという事かな。」
「はい、初めて会った頃の作った様な笑顔では無く自然な笑顔になって来たと感じて、いえ感じてるだけで無く客観的に見てですね…。」
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