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バトル-75 [高校生バトル-08]

「…、と言うのが彼女たちのこれまでの人生、下の子は両親の死で心に傷を負ったものの愛情プラス時間で解決出来そうな気はしてるの、上の子については三郎から話して貰うわね。」
「うん、雅ちゃんは養子と言う事に対して戸惑っていたけど、僕たちと会って希望の光が見えたと話してくれたよ、第一印象が良かったとかでね。
 本人は学校に馴染めず施設では何時もイライラしてると話してたけど、今日はお兄さんお姉さんの前で猫を被ってるのって話してた。
 父親が家に居る時は学習に取り組むか本を読むしかする事が無かったそうで、賢い子だと感じたのだけど、本人はずる賢いと話してたよ。」
「なんだ、春子と同類なのか。」
「次郎兄さん、私はずるくないでしょ。」
「だよな、春子は少し腹黒いだけだ。」
「一郎兄さんも…。」
「春子姉さんは気配りの出来る素敵な姉さんだよ、雅ちゃんもきっと姉さんみたいな素敵な女性になると思う、僕らが暖かく見守って行けばね。」
「ふふ、三郎さんはこうやって女の子の気持ちを掴んで行くのね、罪な男だな。」
「麻衣は俺にも見習えと?」
「いえいえ、次郎は今のままで良いのよ、出来やしないでしょ。
 三郎さん、雅ちゃんは私達の妹になる事に対して前向きなのかしら?」
「はい、取り敢えず僕らは半径二メートル以内に入っても良いだけでなく、真子は抱きしめることを許して貰えました。」
「あっ、男連中が気を付けなければいけないパターンなのね、真子ちゃん。」
「ええ、周りに碌な男がいなかったそうで、でも三郎を見る目からは色々感じられました。」
「恋の相手が血の繋がらない兄と言うの事になりそうなのか?」
「どうでしょう、でも兄妹に許されるスキンシップはどこまでか、なんて話をしてましたよ。
 一応、私が許せる範囲までとしておきましたが。」
「妹に対して愛情を注いで上げたいだろうが、三郎は大変だな、もっと幼かったら気楽だったかも。」
「次郎兄さん、他人事みたいに言わないで下さいよ、相手は小学生、お母さんを亡くしたショックからはまだ立ち直れていないみたいでしたから。」
「そう感じたのか?」
「はい、笑ってる様で笑ってないと言うか…。」
「まあ、これだけ見守る大人がいるのだからな、私達は爺さん婆さんの役割を担えると思うよ、なあ、それで良いのだろ、春子。」
「はい、お義父さま、よろしくお願いします。」
「実の孫が出来ても区別しない様に気を付けるつもりだ。
 真子ちゃん、私達、義兄弟姉妹の話はしたのか?」
「ええ、やくざの義兄弟とは違うと言う話をしましたら桃園の誓いを知っていまして、小学校の図書室にも子ども向けの三国志があったそうです。
 語彙の豊富さから、それなりに読書をしていたのだろうと思います。
 因みに父親関係の人物、つまりは組関係の人だと思うのですが、両親の死後少し気に掛けてくれる人が居たそうです。
 その人の事は家の物を勝手に持ち出す様な人で、全く信用出来ないと話していましたのですが。」
「そんなことまで聞き出せたのか。」
「聞き出せたと言うより誰かに話したかったのでは無いでしょうか、施設の職員以外に。
 明後日の土曜日には遊びに来て貰う事になっています、お時間の有る方は…、そうですね、まずはファーストコンタクトを取りにいらして頂けたらと思います。」
「三郎、全員集合でも問題無さそうか?」
「むしろ問題が早く分かった方が後々楽になるでしょう、何せ猫を被ってると本人が話してたのですから。
 僕たちが…、単に甘やかすのは良く無いですが、快く受け入れる存在で有ると雅ちゃんが感じてくれたら、今後の関係を築いて行く一歩になるのではないでしょうか。」
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