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バトル-64 [高校生バトル-07]

「なあ次郎、一郎に続いてお前が東京へ行った時は、こうして子どもは巣立って行くのだと感慨深かったのだがな。」
「はは、微妙に巣立った子ども達が近所に住み、今日みたいに集まる、親父的にはどうなの?」
「そりゃあ嬉しいさ、子どもは五人でも良いと考えてたからな。
 それが八人になり集まってくれる、今日は三郎と真子ちゃんが夕食の準備を手伝っているのだろ。
 親としてこれ以上の幸せは無いと思うよ。」
「真子ちゃんはまだ微妙だよ。」
「いや、問題ない、私と母さんも高校生時代からの付き合いだったと知ってるだろ、二人を見てると懐かしい気分になる、別れたりしないよ。」
「へ~、それは春子達では感じなかったの?」
「はは、私達の出会いは高校だったからな、誰にも渡したくないから小学生の春子に告白するなんて、親としては戸惑うばかり、まあ、幼馴染で知らない子では無かったから見守ろうと思ったのだが。」
「大輔なりに迷い悩んだ末の結論だからな、真剣な顔で親父に話す姿は親友として嬉しかったよ、大切な妹がどこの誰だか分からない奴に、とならなくてさ。」
「そうだな、大輔くんはずっと兄弟の一員みたいに育って来た、そこに麻衣ちゃんが加わって…。」
「賑やかな大家族になったけど、ここに孫が加わったら静かな老後は送れそうにないけど大丈夫?」
「元から静かな老後なんて考えてないよ。
 私達は、優しい子に恵まれ楽しく過ごさせて貰って来た訳だが、この先は恵まれない子を養子に迎えることを考え始めたんだ、お前達より先にな。」
「母さんは?」
「勿論二人で相談した結果だ、これから二人で受け入れに向けての学習を考えている。
 ただ…、心身にハンディの有る子も意識していてな、みんなの意見を聞いておきたいと思うんだ。」
「分かった、今日は義兄弟姉妹会議の議題として…、俺達の新しい弟か妹について話し合おう。」
「次郎としては、どう思う?」
「そうだな…、無理はしないでベビーシッターを雇う、その代わり養子に迎えるのは一人で無くても良いよね、現代に於ける大家族の形を考えては来たけど、経験の無い俺達が養子を迎えるよりは俺達四人を育ててくれた父さん達が…、でも大変そうだ。」
「ああ、いい加減な気持ちでは出来ないと思ってる、でも、恵まれた環境に有る私達だからこそ出来ることだとも思ってな。」
「う~ん、色々なことを世に問いかける…、駄目だな俺は、新たな兄弟を利用しようと考えてしまって…。」
「それが大人になったと言うことだよ、私も、私達が養子を迎える事で広く恵まれない子達の現実が世に知れたらとも考えたのだよ。
 その役割を担って貰う子は絶対幸せにしたいと切に思う訳だがな。」
「まあ、昔の運命共同体的村落を現代風にアレンジ、そういうコミュニティが俺達の目指しているものでも有るのだから…、幼くても仲間として迎え入れたいね。
 親父は何時頃をイメージしてるの?」
「早くて半年後ぐらい、手の掛かる子を育てるのは初めての経験だからじっくり取り組みたいんだ。」
「なあ、我らが長兄、三郎は、末っ子からの卒業をどう考えると思う?」
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