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バトル-49 [高校生バトル-05]

「お父さん、なんか嬉しそうね。」
「ああ、三郎が私に課題をくれてな。」
「へ~、どんな?」
「これから就職する人の為に、経験談を紹介して行くってとこかな。」
「私達の会社は歴史が浅く経験豊富な社員は少ないものね、三郎も気にしてたのかな。」
「だと思う、それで少し考えていたのだが、組織は色々な人によって構成され、組織に対する思いも様々だろ、全くの他人が利害関係だけで協力し合っているとも言える。
 お前たちは兄弟で有り義兄弟でも有るから事情は随分違うのだろうが。」
「それだけでは無いわ、三郎に憧れてる人や兄さん達の事を子どもの頃から知ってる人も少なからずいるからね、特に撮影スタッフは地元の学生が多いのよ。」
「そうか、そう考えると普通の企業とは大きく違うのかな…。」
「お父さんの会社も地元の人が多いのでしょ。」
「まあな、でも、社員間の繋がりはそれ程強くはない。
 一郎や次郎と共に高校の学園祭を盛り上げて来た連中とは団結力が全然違うよ、社長が人格者で有ってもね。」
「確かにスタートは学園祭の延長みたいなノリだったかな、そんなノリが各地の学生に広がって。」
「直接有った事の無い人ともスムーズな交流が出来ているのか?」
「うん、一郎兄さんの助言で、テレビ電話を利用し直接会えなくても互いの表情が分かる形で交流する事を推奨したの。
 メールは簡単だけど相手の事を知らないと誤解が生じることも有るでしょ。
 メールだけで作業が進んでいても、必ず定期的にテレビ電話で対話する、話の内容は仕事に関係の無い事でも良いからね。」
「在宅勤務でも、社員間の交流を重要視したという事か。」
「単純に効率だけを考えたら無駄に思えるかも知れないけど、とても大切だと思うの。
 会社が立ち上がってから兄さん達ともテレビ電話で話す様になったのだけど、伝わる情報量が全然違うと感じてね。」
「成程な、今時のお年寄りたちは孫の顔を見ながら話せるとかで、テレビ電話を使いこなしてる人が多いと聞くが、そう言う事なのだろうな。」
「実際に会うのが一番なのだけどね、それで三郎からの課題はどうするの?」
「私のちっぽけな経験談だけで、春子は満足するか?」
「そうね、卒業生が後輩の為に残してくれるものに負けてしまっては残念かな。」
「いっその事、組織論、経営学を踏まえ、まずは高校生向けに会社組織のレクチャーから始めてだな、誰しもが何かしらの組織に所属するという前提で、組織と個人の関係とか対人関係とか…、具体的な形はこれから考えて行くが、今の学校教育には欠けているとも感じて、なあ、春子はどう思う?」
「う~ん、一つの教科として中学生から大人までが学ぶべき事なのかも…。
 少しづつは取り組んでいるけど、もっと大きく捉えて教育体系を構築して行くべき事なのかな…。
 単純な組織論ではないのでしょ。」
「ああ、組織の構成員が組織の事を考える、日本と言う国家組織の構成員で有る国民が、偏向報道に流されず冷静に考えるとか、考え始めるときりが無いのだがな。」
「ふふ、三郎の課題からは随分離れてしまいそうね。」
「それでも、課題から導き出された提案としては妥当な線だろ。」
「良いのだけど、三郎がそっちにのめり込むと…。」
「時間的な問題が有るのか?」
「う~ん、微妙だけど、三郎の判断に任せるわ、場合によっては大輔さんにお願いして三郎が直で指示出来るスタッフを増強して貰うから。」
「三郎には直属の部下がいるのか?」
「ええ、私達の長兄としてリーダーシップを発揮して貰えたらと考えていてね。
 人の心を引き付ける魅力は、兄さん達の比では無いでしょ。」
「一郎や次郎だってなかなかのものだと思うが。」
「でも、次郎兄さんがテレビに出ても大した反響は無かったの、三郎がテレビに出たらどうなるかを計算出来た人がCM依頼をして来たのよ。」
「そこまで高く評価されているのか…。」
「ルックスも性格もお父さんとお母さんの良いとこだけを受け継いでるでしょ。
 会長としての行動を身近なスタッフが少しずつSNSで漏らしてる事もあって、注目度はかなり高くなってるのよ。」
「その辺りは春子の策略なのか?」
「まあね、知りたい存在の事が全く分からないと飽きてしまう、でも少しずつでも知る事が出来たら、そして、その内容が色々な意味で萌えるものなの、元々みんなの弟として売り出しているからか…、お年寄りですら弟だと思って妄想してると聞いたわ。」
「そ、そうなのか…。」
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