SSブログ

バトル-42 [高校生バトル-05]

「なあ、お前たちの活動、その原点でも有る高校生バトルはどうなってるんだ?」
「企画を検討しながら内容を充実させてるよ。
 各分野でトップクラスの高校生に交流を深めて貰い、そこに大学の研究室を紹介、学習や研究の環境整備を考えていてね。
 勿論、偏差値の低い生徒向けのプログラムもね、合併することで学生社員にとっての活躍の場が広がることのなる、バトルの形式を工夫する事で利用者が増え、広告収入が伸びているからね。」
「合併のメリットは大きいのか?」
「収入面では圧倒的にサポートカンパニーが上でさ、今まで営利的に弱かった分野に資金を回し易くなるのだけど、そこでの収益アップを目論んでいてね、その辺りは兄貴が転職して来て落ち着いてからになるのだけど。」
「一郎は円満退社になりそうなのか?」
「ああ、各種資格試験のサポート展開は転職の話と並行して会社の上司とも相談していてね。
 それが結構上まで話が通っているみたいで、転職前に社長と懇談するかも知れない。」
「大企業のトップと?」
「学生社員の話を詳しく教えて欲しいと人事部から来てるぐらいだからね。
 先輩方が苦労してた事をあっさり片付けた実績が有るから上の人達とは話がし易くなって、業務提携の話も出て来てる、まだ佐伯さんが抜けた穴を埋め切れてないんだ。
 カンパニーの学生社員の中には佐伯さんの下で経験を積みたいという人もいるぐらいだから業務を拡大しても問題はなさそうでね。
 円満退社して取引先になるという感じかな、高校生バトルの業務には公益性が有るからスポンサーになって貰う話もしててね。
 一応会社に育てて貰って中小企業の取締役に就任みたいな話をして行く事になりそうだよ。」
「育てて貰ったとは思ってないのだろ。」
「まあね、でもそう言う事にしておけば、この先何かと便利なんだ。」
「ふふ、腹黒い大人の対応なのね。」
「春子、最善だろ。」
「そうね、折角だから最大限に利用しましょう、一郎兄さんの会社へ学生社員を送り込み十年後ぐらいを目途に実権を握り乗っ取るとか考えてみない?」
「悪く無いな…。」
「それなら、三郎を社長にしよう。」
「あのさ…、どうして次郎兄さんは僕を祭り上げたがるのかな?」
「俺の弟は大企業の社長なんだぞって自慢出来るじゃないか。」
「自分が社長になれば良いじゃん。」
「いや、社長より副社長の方が気楽で良いんだ。」
「大輔さん、次郎兄さんはクビにするか、平社員に降格させない?」
「そうだな、会長の指示とあっては…、まずは皿洗い業務担当でよろしいでしょうか?」
「うん、お母さん、後片付けは次郎兄さんがしてくれるからゆっくりしててね。」
「では、私達は企業を裏から牛耳って行く計画を立てましょうか。」
「まずは新入社員を如何に洗脳して行くかだと思うな。」
「三郎くんは何かアイディアが有るの?」
「麻衣さん、就職した時って一番下の立場ですよね。」
「でしょうね、普通は転職しても取締役にはなれないわ。」
「でも、いずれは自分達の力で会社を牛耳ってやるんだという気持ちが有ったら、仕事に対して取り組む気持ちが変わりませんか?」
「う~ん、普通の新入社員ってどんな気持ちで就職するのかしら。」
「いずれは社長に、なんて考える人は僅かみたいですよ、でも、一人の力では無く集団の力で、しかもその集団は闇の存在で密かに企んでいるとしたら、参加したくなると思いませんか。
 それが悪事では無く、企業を改革して社会により貢献できる存在にする事を目指しているのだとしたら。」
「ふふ、組織の構成員によって社内で洗脳が進めばってことなのね。」
「その為には掟が必要なのですよ。」
「三郎くん、掟が有って洗脳となると宗教団体みたいな展開になるの?」
「そうだな~。」
「秘密結社の拠り所はボスの人格じゃないかしら。」
「友香はボスに心当たりが有るのね。」
「勿論よ。」
「お~い、誰か片付け手伝ってくれないか~。」
「次郎、ごめ~ん、大好きな弟と大切な話をしてるからさ、残しておいて良いわよ、後で片付けるから。」
「麻衣さん、次郎兄さんを甘やかしては駄目よ、追い込んで行けば楽に済ます方法を考え付くから。」
「そうなの…。」

「母さん、食器洗い乾燥機を試してみようか、大輔が株で儲けたって自慢してたからお金の心配はいらないよ。」
「次郎兄さんも稼いでるのだから少しは出しなさいよ。」
「はは、皆で出し合えば一人当たりの負担は少なそうだね。
 企業乗っ取り計画の前に、食器洗い乾燥機導入計画を検討しようか。」
「うん、パソコン立ち上げるね。」
「ふふ。」
「真子ちゃんどうしたの?」
「なんかさ、家族って良いなぁ~って思ってさ。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。