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バトル-34 [高校生バトル-04]

「次郎兄さん、一郎兄さんの先輩…、えっと佐伯さんだっけ、入社は決まったの?」
「春子も気にしてたのか、時間を掛けて連絡を取り合い準備を進め、面接には大輔の親父さんにも同席して頂いてね、一郎兄さんが彼のスキルを分かり易く説明してくれ、親父さんの会社とサポートカンパニー、両方を見て貰う事になったよ。」
「えっ、両方?」
「一郎兄さんが言うには余裕でこなせる体制を作る所から始めて行くそうだが、兼任なら高給にし易いという事情が有る、当然カンパニーでは最高の年収になるだろ、一人だけ突出した給料でも構わないと思っていたが、大輔は他とのバランスを考えていたんだ。
 兼任でも必要が有れば兄さんが手伝うし、兄さんも早めに転職するかも知れない。」
「そう言えばこの前帰って来た時に転職の話をしてたわね。」
「元々何時かは地元に帰って来ると言ってたし、会社の人間関係が面倒になり始めたとかでさ。」
「一郎兄さんって人当たりは悪く無いよね。」
「何でもね、ちっとも成果が見えて来なかった新チームに研修名目で入れられたのだけど、チームメンバー八人が四か月掛かっても出来なかった事を、数日でほとんど完成させてしまったそうでね、それ以降先輩方との間で微妙な空気になってるのだとか、始めから佐伯さんをチームに入れておけばスムーズに事が運んだとも話してたよ。」
「へ~、大企業でもそんなものなのか。」
「ここでは兄貴の優秀さを誰もが知って認めているだろ、親父さんにしてみれば地方の企業が佐伯さんや兄貴クラスの人を雇うのは無理だと考えていたから喜んで見えたよ。」
「お義父さまは佐伯さんにどんな作業をお願いするのかしら?」
「工場を始めとした全てのシステムを見直して欲しいと話されていた。
 佐伯さんは単にコンピューターのシステムに精通しているだけでなく、人が作り上げてるシステム改善も手掛けて来た人でね、コンピューターシステムを活かして行くには現場の人達の体制強化も重要なんだ。」
「単なるコンピューターおたくでは無いってことね。
 そういう人ならゲストとして三郎達とも対談して頂きたいわね。」
「大丈夫だと思うよ、転職を考えるに当たって奥さんと一緒に春子たちの作品を見たそうでね、三郎のことは弟だと思って可愛がりたいそうだ。」
「あっ、東京からこちらに越して見えるの?」
「ああ、カンパニーの仕事だけなら引越しの必要は無いが、親父さんの会社を一から見直す作業が有るからな。」
「住まいはどうするのかしら?」
「親父さんとこの社員が面倒みてくれる事になってる、取り敢えず中古物件をリフォームして暮らし始めて貰いながら新築の相談、土地は有るからな。」
「もしかして私と大輔さんの予定地近く?」
「うん、兄貴や俺の家もそこに建てて集落を形成したら良いとか話して下さったよ。」
「お義父さまらしいわね。」
「水害の恐れが極めて低い一等地、埋め立てた所でも無いから地盤沈下の恐れも無いのだろ。」
「ええ、みんなの家を建てるのなら個性的な集落にしたいわね。」
「そうだな、何かイメージは有るのか?」
「具体的なイメージはまだ無いのだけど、英語チャンネルでミュージカルに挑戦したいと考えていてね、上手く行ったらそのままミュージカルの舞台にしたいかも。」
「う~ん、すでに知名度が上がって来ているから、観光客が来てしまうかもだぞ。」
「道路も私道の私有地だから住人以外立ち入り禁止、セキュリティは次郎兄さんが考えてね。」
「ああ、そうなったら頼れる部下に指示を出すよ。」
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