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バトル-05 [高校生バトル-01]

「高校生国語バトル~!
 高校生バトルファンの皆さんお待たせしました~。
 国語バトルA級決勝大会初日の模様をお伝えします。
 解説は牛田大学文学部の頓田邦彦教授、実況は私、雪山夏子でお送りします。」
「頓田先生、ここまで予選をご覧になられて如何でしたか?」
「そうですね、数学バトルは比較的正解がはっきりした問題が多かったのですが、国語は微妙な所も有りまして、即座に採点出来ない問題が多くなりました。
 しかし、選手の解答を沢山比較出来たのは良かったと思います。
 大学入試問題を意識しながらも、国語力、というものに向き合う問題が多くて面白かったですね。」
「本日はA級の決勝ですが、一つ目の部門は校正推敲バトルです。
 先生、このバトルのポイントはどこでしょうか。」
「与えられた文を校正し推敲しながら、自分の文章として、自分の考えを入れながらまとめて行く作業になります。
 誤字脱字が有り、曖昧な論点、分かりにくい表現で書かれた文章を、自分なりにどう解釈し自分の考えを加味し、まとめて行けるか、また文章のセンスが求められます。」
「今回予選を通過したのは二十三名なのですね。」
「決勝に進む力の有る人が二十三名いたという事です、この人数が多いのか少ないのか分かりませんが、将来文章に関わる仕事に付けそうな人達だと考えて下さい。
 このバトルでは、単純に数値化された採点は出来ませんので、完成した文章を読んで皆さんに投票して頂き順位をつける賞と、特別審査員からの賞という形にさせて頂きます。」
「では、開始の時間となりました。
 五、四、三、二、一、スタート。
 まずは課題文を視聴者の方にも見て頂きましょう…。」

「こ、これは酷い文ですね。」
「頓田先生この文は誰が書いたのですか?」
「かめや何某と聞きましたが…、まあ、今回のバトル課題としては悪く無いのかも知れません。」
「早くも誤字の修正を始めた人がいますね、選手の表情は真剣そのものですが…。」
「誤字が残っていては印象が悪くなります。
 今、六番の人が『聞く』を『聴く』と修正しました、どちらでも良さそうですが、この場面では『聴く』の方が一般的です。」
「あっ、十三番の選手が『メーン』を『メイン』に修正しましたね。」
「これは微妙で選手の間でも判断が分かれると思います。」
「新聞などでは『メーンスタジアム』と表記されますが、口語的には『メインスタジアム』の方がしっくり来ますものね。
 この辺りは文章の評価に影響するのでしょうか?」
「大きく影響することは無いと思いますが…、私も十三番の方と同じく『メイン』とします、日本語の話し言葉として定着していますので。」
「それでも、新聞社とかで働く事を考えたら『メーン』でないと誤りになるのでしょうか。」
「でしょうね。」
「そう考えるとこのバトルは結構難しいという事になります。」
「はい、三番の方は『てにをは』で迷っているみたいです、『私が』と『私は』では微妙に違いますものね。」
「それぞれの感性だったり、文脈の中で変わって来ます、こうして文章を手直しして行く作業を見ていると選手の皆さんが何に迷い、どう決断しているのかを推測出来て面白いですね。」
「先生、このバトルの制限時間は、その判断に大きく影響しますよね。」
「ええ、文豪と呼ばれる人達でも遅筆の人がいたり…、締め切り間際に勢いよく書き上げる人もいるでしょうから、このバトルで負けたからと言って、単純に能力が低いとは言えません。
 短時間で文をまとめ上げる力が弱いと分かれば、速報記事を書く様な仕事には向かないと考え仕事を選べば良いのです。」
「そういう事なのですね、十五番とか早い人はかなり完成度が上がって来てる様に感じますが。」
「元の文章を上手く利用していますね、十九番の選手は起承転結を意識して文を組み立てています。
 視聴者の方は作文や小論文を書かれる時の参考にされては如何でしょうか。
 ただ、内容面はまだ微妙、時間は有りますので落ち着いて仕上げて欲しいです。」
「それは、各選手、序盤の様子を見比べて行きましょう…。」
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