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バトル-03 [高校生バトル-01]

「では総合クラスA級、百名による頂点を目指したバトルの開始です。
 五、四、三、二、一、スタート。
 鹿田先生始まりましたね。」
「はい、問題の全容確認から始めている人、頭から全力で解き始めている人、様々です。
 A級は一見基礎問題と思える所にも罠が仕掛けられていますので…、おっと早くも36番、68番とミス、焦らず落ち着いて取り組んで欲しいです、見直しで気付いてくれれば良いのですがハイレベルな闘いですのでこれだけでも致命傷になりかねません。」
「選手はマウスとキーボードを使って入力していますが、我々は選手百人が入力しているデータを分析しているAIがピックアップしたデータ情報や回答を見ながら話を進めています。
 では先生、二人が誤答を入力した問題から解説をお願いします。」
「ええ、この問題は…。」

「有難う御座いました、大学入試の数学を忘れ掛けてる私にはすでに難しいです。
 大学としては学生にこのレベルの力を求めていると考えればよろしいのでしょうか?」
「はい、バトルをご覧になってる高校生の方、特に理数系で力を発揮して行きたいと考えている人は最低でも七割は正解して欲しいですね。」
「現時点で選手たちの正答率は九十五パーセントを越えていますが。」
「さすがに予選上位者です、全員が理数系大学を志望していると聞いていますが頼もしいですね。
 ただ、論理的に説明する設問と、最大の難問にはまだ誰も手を付けていませんので、これからが見ものです。」
「文章での説明は証明問題の発展形と考えれば良いのでしょうか。」
「ええ、論理的思考力だけでなく表現力も問われます、自分の考えを正しく伝える能力は重要ですので。」
「採点には二十名のボランティアが参加と聴きましたが。」
「二十名の方にはそれぞれ百人分の回答を採点して貰いますのでそれなりの労力が必要です。
 大変な作業になりますが、大学や企業の関係者が率先して引き受けて下さいました。」
「何かメリットが有るのですか?」
「優秀だと感じた生徒とは懇談の機会を設けます、その席でのスカウト活動はルールに則っていれば問題有りません。」
「なるほど、優秀な生徒を見つけ出すという理由も有るのですね。
 おっと、ここで大きなミス、一気に得点を下げてしまった人が出ましたが、上位陣はノーミスで安定しています。
 では、その上位陣の中から写真公開オーケーで自己アピールをしたい人中心に紹介して行きます。
 54番は宇宙航空研究開発の道に進みたいと言う島根の高校三年生、趣味は将棋、彼女募集中だそうです。
 受験生で彼女募集中とは余裕なのでしょうか。」
「本当に力の有る生徒はレベルの高い大学でも余裕を持って合格します。
 無理をしていませんから高校生生活を楽しんでいますよ。
 逆に実力ギリギリの所を狙ってる人は余裕が無くて、その余裕の無さがマイナスに作用することは少なく有りません。
 無理して上を目指すのか、ワンランク下げて余裕を持つのか、微妙な選択になります。」
「先生はどちらが良いと?」
「難しいですね、結局はケースバイケースです、無理したことで成長する子もいれば潰れる子もいますので、最後は本人のバランス感覚では無いでしょうか。
 ただ、失敗する子は視野が狭いと感じる事が有ります。」
「単に学力では無いと言う事ですか?」
「余裕の有る生徒は広い視野で物事を捉える傾向が有ります。
 学力偏重で、実力以上の結果を求められて育って来た子は、見せかけの学力がそれなりに高くても、大学入学後に力の差を思い知らされる事が有ります、それをプラスに出来れば何の問題も有りませんが、苦労して合格した大学で、その現実を見せつけられて挫折してしまう人もいます。
 入試をクリアするだけで無く、人として成長する事も必要なのですよ。」
「ではこのバトルに参加している人達の中にも、大学で苦労するかも知れない人がいるのですね。」
「それはどの世界にも存在する事です、理想と現実、戦ってる彼らは遊ぶ為に大学に行こうとは思ってないでしょうから、思う様に行かなくても乗り越えて欲しいですね。」
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