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纐纈榛香-04 [F組三国志-07]

「榛香、うちも小さなボランティア活動に助けられた様なものでね。」
「プロジェクト梶田が?」
「ええ、学生さん達は実習や研究という気持ちで参加してくれたのだけど、実際にはそれと関係のない、倉庫の整理にも協力してくれてね。
 本当なら人件費が必要になる作業を、ささやかなお礼だけでして下さって。
 でね、一緒に作業した大学生の人が話してくれたのは、昔の村落共同体の話。」
「状況によっては運命共同体でも有ったのよね。」
「うん、今は税金を使って行われている道路の維持管理とかでも、村落共同体では村人が協力し合って行っていたのでしょ。」
「街道は事情が違うだろうけど、生活道路は自分達でするしかなかったのでしょうね。」
「地域社会と個人が密接に関わっていたのよね、でも今は、それ程密接ではない。
 隣に住んでる人が何をしてる人なのか知らないまま生活している。
 でも、それって健全な社会なのかって。
 子どもが居れば学校を通して親同士の付き合いも有るけど、ワンルームに住んでる独身者にとって地域社会との繋がりは、特に都会に於いては皆無に等しいでしょ。」
「そうね。」
「小さなボランティア活動は無理なく、少しずつでも人との交流の場を広げて行く活動でも有ってね、例え月に一度だけ社会の為に無料奉仕するとしても、その場を通して個々人の視野を広げたり出来るからと、新たなプロジェクトチームを結成して行く方向なのよ。
 チーム赤澤のメンバーが小さなボランティア活動に参加し易い様、ひまわりプロジェクトや児童養護施設などと連絡を取り合う、工房のメンバーも乗り気で理沙はお母さんと一緒にひまわり作業所に顔を出したりしてるの。」
「ええ、理沙から少し聞いたわ。
 そんな話を聞かされて…、私は何もしてないのだけど…。」
「年に一回児童養護施設の子達にダンスを教えるだけでも良い、そんなレベルで考えてみてはどう?」
「そっか、無理なく、なのよね、情報は新たなプロジェクトで整理されて発信されるという事なのかな。」
「そうなって行くと思う、でも、実際に活動してる人達に聞いてみるも良いと思う、私がしてるのは工房の掃除ぐらいで参考にはならないけど。」
「そうね、由香にも聞いてみるわ、にしても、梨乃ってお掃除、好きなの?」
「ふふ、そうね、綺麗にするのは好きみたい、でも工房では掃除や片付けの工夫もしてて面白いのよ。
 業務用掃除ロボットの開発チームが実験をしてて、うちの工場でも試験中。」
「へ~、家庭用のとは違うのかな?」
「全く違うの、大きさとかもね、今有るロボットの改良だったり、特殊なのを新規に開発とか。
 色々な工場で使えそうな汎用型だけでなく、特殊なのもね。
 将来的には工房として請け負って、設計から製造まで世界で一つだけのロボットを作りたいってチームの人達は張り切ってるのよ。」

 チーム赤澤のメンバーはそれぞれ目標を持ってる人が多い。
 だが自分にはまだ目標と言えるものが無く…。
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