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将棋 [ネット社会の]

「亜紀、自分は将棋を指す訳では無いのだけどね。」
「藤井七段の話しをするのかしら?」
「さすがに亜紀でも知ってたか。」
「最年少記録だっけ。」
「まあ、最年少記録なんてどうでもいいと思ってるのだけど、沢山勝って欲しい。」
「藤井七段はニュースで知ってるけど、将棋って良く分からないのよね。」
「そこなんだよ、プロ棋士の将棋に興味の有る人なら棋聖戦とかタイトルのことを普通に知ってる訳だが、何となく藤井七段は凄いらしいとか、彼の登場で少し興味を持った程度の人達は色々知らないんだ。」
「でしょうね。」
「なのに、ヤフーニュースのコメントを見てると調べてから書けよなってのが結構目に付いてね。」
「例えば?」
「コロナの関係で対局が延期になり、最近ニュースになってる棋聖戦は対局の間が短いハードスケジュールが組まれた。
 それに対して藤井七段の最年少記録の為と決めつけたコメントが結構有ったのだけど、実際は、対戦した永瀬二冠や渡辺三冠のタイトル戦もあっての判断だと考えるのが妥当、多少最年少記録を意識したとしても、この二人と、豊島竜王・名人のタイトル戦の日程を考えたらね。」
「ハードな日程なの?」
「ああ、棋聖戦で永瀬二冠が勝ち進む可能性を考えなくてはならなかっただろうしね。
 名人戦では豊島名人に渡辺三冠が挑むタイトル戦が始まっているし、永瀬叡王に豊島竜王・名人が挑む叡王戦のタイトル戦が六月中に始まる、更に王位戦も佳境に入っていてね。」
「良く分からないけど、色々有るってことなの?」
「スポーツの世界でもオリンピックが有ったりワールドカップが有ったりするじゃないか、プロの将棋では色んな大会が予選から決勝まで並行して行われていると考えてくれたら良いかな。
 一回の対局に丸一日掛かるし、体をあまり動かさないが脳の使うエネルギーはかなりのもので、真剣勝負だから精神的にも消耗する。
 藤井七段が渡辺棋聖に挑んで勝利したタイトル戦一局目から、中一日で臨んだ王座戦の予選では、相手が強かったことも有るが、攻め切れず最近の対局では見られなかった甘い手が出て負けてしまった。
 でも、ハードスケジュールの上に最近の相手は強敵だったから疲れていて当然、タイトル戦は初めての事だったし、東京で対局して中一日で大阪だったからね。
 コロナの関係でハードな日程を組まないと対局が消化しきれなくなったからだが、主催者としては中止にしたくないだろう。
 そんな様々な事情を考えもせずにコメントしてしまう人が少なからずいるのがネット社会の現状、そして、ネットニュースを発信する側も。」
「それは理解してるわ、ひどく雑な記事を目にするから。」
「うん、ネットだから雑で良いと考えてるのか、将棋の生中継をしているアベマでもね、六月十三日に王位戦、阿部健治郎七段対藤井聡太七段の対局が有るのだが、その紹介欄にね…。
『藤井七段連続タイトル挑戦なるか!?王位戦あと2勝で、木村王位に挑戦が決まる!最年少タイトル挑戦者と、最年長タイトル獲得者の奇跡の対決なるか!本局の勝者は、次に紅組の優勝者と対局する。』と有るのだが、実は阿部健治郎七段は勝っても紅組の優勝者と対局する事はないんだ。」
「どういうこと?」
「紅組白組二つのリーグ戦を戦ってきて今回がその最終戦、ここまで全勝の藤井七段は勝てば紅組の優勝者と対局、それに勝てば木村王位に挑戦となるのだけど、阿部七段はここまで全敗でね。」
「そこを無視?」
「まともな会社だと思いたいが、文章のチェック体制が無いのだろうし、さほど重要では無いと言う認識だろうね、王座戦の紹介でも、直近2戦では藤井七段が2連勝している、と書かれているが実は二連敗、仕事で書いてる人でもこうなのだから…、そしてテレビでもね。」
「普通の地上波は大丈夫でしょ。」
「将棋の事を何も知らない人達が藤井七段をネタに話してるのが実態だそうだ。
 自分は藤井聡太七段が有名になり始めてから日本将棋連盟のサイトや棋士別成績一覧(個人サイト)を見て将棋界の様々な仕組みを知ったのだけどね。」
「詳しくなったの?」
「将棋は指さないが、将棋界の仕組みだけは何となく分かって来たよ。」
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