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鈴木正信-02 [F組三国志-07]

 午前のプログラムが終わり、高校生メンバーやその家族はプロジェクトFの学生達と集まって食事。
 
「おっ、森も来てたのか。」
「ああ、俺だってチームの一員だからな。」
「今日の感想は?」
「改めて自分の幼さを感じたよ、でも、児童養護施設でのボランティアで知り合った人達と一緒に、施設の子ども達へ今日の事を伝えたいと思ってる、夢の持てる社会と言うのをね。」
「お前って本当に変わったな。」
「はは、よく言われるよ。」
「由香さんから聞いたけど、施設の小学生と遊んだり、中学生の学習を手伝ったりしてからか?」
「うん、始めは気付かなかったが、施設の子たちはそれぞれ闇を抱えていて、相手をするのがやっかいな子もいるんだ。
 でさ、うちの親がもっと暴力的だったら自分もその仲間になっていたと思うと…、実際に成りかけていたのだけどね。」
「そうだったな、最近はどうなんだ?」
「親父が女を作って出て行ってくれたおかげで楽になったよ。
 親父なりに後ろめたさが有るのか小遣いは貰ってる。」
「それは良かったな、と言って良いのか?」
「ああ、お袋とも離れて一人暮らししたいがさすがにそれは難しい。」
「それで、生活が充実?」
「チーム赤澤に入ってから色々考えてる、まあ、入ってなかったらガキのままだったと思う。」
「色々教えて貰ったとか?」
「教えて貰うと言うよりは、考える切っ掛けや環境を作って貰ったってことかな。
 施設の子と遊びながら自分のことを振り返ったり、以前は皆無だった、人の気持ちを考えるとか。」
「今なら岡崎の気持ちも分かるのか?」
「生理的に無理なのは藤本や谷口も同意してくれたよ。」
「彼女達と仲良くなったのだな。」
「藤本が中学生と親しくなる切っ掛けを作り、俺の好感度を上げてくれたんだ。
 正信、大きな声では言えないが今が人生最大のモテ期かも知れない。」
「相手は女子中学生?」
「まあな、藤本に助言して貰いながら彼女達の兄として振舞っているんだ。」
「彼女にするとかではなく?」
「しばらくの間、特定の彼女は作らずに…、そうだな、彼女達が若くして妊娠出産、経済的に困窮というシングルマザーにならない様に、寂しさから変な男に引っ掛からない為にどうするか、大学生を交えて真剣に話し合ったり、色々難しい子もいるのだけど、共に成長しようを俺たちの合言葉にしてる。
 その中で真面目に付き合える子を見つけられたらと思うよ。」
「そういう事なら手助けしたいが、恵まれた環境に有る俺では難しいのかな?」
「いや、藤本も谷口も家庭環境に問題はないだろ、まあ、藤本は彼女達の前では兄貴自慢を封印してるし、谷口もそれなりに気を使ってるけどね。」
「なら、俺に手伝える事が有ったら声を掛けてくれよ、チーム赤澤と向き合って見て、自分に何が出来るのかまだ見えてなくてさ。」
「そうだな、クラスの連中とは全く違う環境で育って来た子ばかりだから戸惑う事が有るとは思う、でも視野を広げる事には繋がると思うよ。」

 森はすっかり変わった。
 自分は…、視野を広げ考えて行かないと、ただの面白くもない真面目な高校生のままだ、前は何となく進学して無難に就職して、というぐらいにしか考えていなかったのだが。
 社会の一員としては森の方が自分より恰好良くなっているのかも知れない。
 まずは自分に出来る事を考えてみるか…。
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