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谷口あやか-01 [F組三国志-06]

 嶋くんが理沙を選んでちょっぴり泣いたけど、省吾さまにパフェをおごって貰って励まされ、新たな恋をと考えて始まった夏休みは、チーム赤澤関連のボランティアや学習会などで充実したものに、残念ながら彼氏は出来なかったが…。

「あやか、夏休みはどうだった?」
「そうね、彼氏こそ出来なかったけど、色んな人との出会いが有って…、麻里子もでしょ。」
「うん、中学の頃なんて話すのは同級生ばかり、今にして思えば視野が狭くなって当然という環境だったわね。」
「それが大学生と沢山話せる様になったし、私はボランティアに参加したことで中学生や施設の大人ともね。」
「ボランティアは大変だったの?」
「数回のことだったから全然、私は幸せな家庭で暮らしていることを表に出さない様、気を付けてたけど、中学生とは結構仲良くなったのよ。」
「へ~、話題は?」
「森くんネタが一番盛り上がったかな。」
「森くん?」
「麻里子も知ってるF組の元問題児、彼も一緒だったのよ。」
「チーム赤澤に参加とは聞いてたけど。」
「数学を教えるのが上手くて女子の中で人気だったの、少しぶっきらぼうな所が恰好良いとかでね、身長高いし岡崎と違って不細工な訳でもない、進学校に通ってるから、高校入学当初いじめっ子を目指していたと告白してもね。」
「そう言われてみると…、そうね顔つきが穏やかになった気がするわ。」
「反省しマシな人間になろうと思ってると話してて、小学生の遊び相手もしてたのよ。
 一度だけかと思ってたら、私たちより回数が多くなっててね、次の日曜日も遊びに行くとか話してた、彼にとっても良い経験になっていて、小中学生の面倒を見る中で彼なりに自信を持ち始めてるのだと思うわ。」
「そっか、それなら私たちも付き合い方を考え直さないとね。」
「でも、彼氏にと考えるのならライバルは多いわよ、本人も人生最大のモテ期だと話してたから。
 しばらくは特定の彼女を作らず、兄的ポジションで中学生に学習アドバイスをして行くそうでね。」
「すでに、あやかは森くんと色々話してるのね。」
「F組の仲間でしょ、由香もよ。」
「由香が彼を狙ってるとか。」
「まさか、由香はお兄さまが基準だから彼は問題外、由香のお兄さまって素敵なのよね~、由香を義妹にするのも悪くないかな。」
「選んで貰えるの?」
「そこなのよ、由香が言うには大学合格までは恋愛を封印してるそうでね。
 その間にどれだけ自分をアピール出来るかに掛かってるのよ。」
「学習の妨げになったら嫌われるだけでは済まないから気を付けなさい。
 まあ、それなら私にもチャンスが有ると言うことね。」
「え~、麻里子も狙ってたの?」
「学習会の時に数学を教えて貰ったのだけど、なんか優しさが滲み出て来るのよ、由香の兄貴自慢が控えめだったと気付くぐらいにね。
 今の所はチーム赤澤唯一の高校三年生として私たちとの接点を維持してくれそうだから、別に彼氏どうこうと言う事なく親しくなりたいわ。」
「そ、そうよね…。」
「どうしたの?」
「私が好きになる人って人気の有る人ばかりでさ。」
「嶋くんと付き合い始めて理沙は頑張ってるわよ、単に嶋くんの事が好きというだけでは駄目みたいでね。」
「えっ、そうなの?」
「夏休み中に互いの両親を紹介し合い、嶋くんが将来社長になるだろう会社の事を教えて貰ったりしたそうでね、自分は何を学ぶ必要が有るのか真剣に考えているって話してたわ。」
「そっか~、理沙はそういうタイプよね、嶋くんも分かっていたのだろうな~。」
「遊びに行くより二人で会社の事を学ぶのが楽しいそうでね。」
「そういうものなのか~、私が思い描いてた嶋くんとのデートとは掛け離れてるじゃん。」
「あやかは己を知り恋愛対象のレベルを下げるべきね、森くんはどうなの?」
「いや~、それはマジで無理なのよ、不幸な生い立ちの妹分達のことが可愛くてしょうがないみたいでさ、自身も児童養護施設のお世話になる可能性が有ったと話してたし。
 頼られたら守りたいとも、彼女達は私の友達でも有るから森くんはちょっとね。」
「中学生に魅力で負けてると言うことではないの?」
「うっ、それは言わないで。」
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