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藤本慎吾-04 [F組三国志-06]

「なあ、そもそも学校って本当に必要だと思うか?」
「う~ん、そう来たか…。」
「うんと昔は親が生きて行く術を子に教えていたのでしょ。」
「学制は明治時代の1872年に発布されたけど、江戸時代だって藩校や寺子屋が有ったのよね。」
「何の為に?」
「富国強兵、殖産興業を推し進める為には…。」
「そうね、豊かな国を維持して行くためには教育が必要、その為の学校。」
「別の視点で考えると、社会の中で一個人が生きて行く力を身に着ける為という事が有るのかな。」
「そうだろうけど、そのシステムは明治時代から随分変わった現代社会に至る過程で正常に発展、進歩して来たと思うか?」
「言いたいことは分かる、思い起こせば小中学校の授業なんて…、私はお利口さんだったから黙って座ってたけどね。」
「うちの生徒は皆感じて来たことだと思うし、逆も有るだろう、生きて行くのに必要の無い知識を強要されてる子達もいるのだから。」
「そうよね、頭の悪い子に色々強要するから問題児を生み出すとか。」
「彼らだって悪くない、問題は学校のシステムに有り、今のネット環境を最大限に活用すればそれをましな方向へ持って行けるのでは無いかと、チーム赤澤のメンバーは考えているんだ。」
「一年生達も?」
「勿論。」
「そのシステム構築とかを藤本くんは考えているのかしら?」
「まあな。」
「じゃあ、絶対第一志望に合格しないといけないのね。」
「いや、そうでもなくてさ。」
「どういうこと?」
「最近、大学の先輩と情報交換していてね、本気で自分のスキルアップを目指すのなら大学以外にも道が有ると感じているんだ。
 大学という枠組みに拘る必要は無いのかもとね、まあ実際問題として大学に籍を置くメリットは大きいから大学には入りたいと思っているが。」
「そうよね、肩書で判断する人もいるのだから。」
「うん、人脈をうまく作ることに成功したら、アメリカの名門大学と繋がれるかもと思っている。」
「えっと…、その切っ掛けもチーム赤澤ってことなの?」
「ああ、省吾リーダーは海外との情報交換も指示しているからね。」
「指示か…、赤澤省吾ってやっぱ天才?」
「ご本人は普通の高校生だと話してるけどな、普通の高校一年生の下に大人を含めた多くの人が集まると思うか?」
「大学生に指示する高一が普通だとは思えないわ。」
「うん、大学間の垣根を越えて、という壮大な計画がすでに進み始めているからね。
 自分のポジションは、それを円滑に進める為のシステム構築だと考えている。」
「将来の目標がより鮮明になったのね、藤本くんは良いな~。」
「佐々木さんだって、目標が有るじゃないか。」
「でも、キャリアウーマンなんて漠然とし過ぎてるでしょ、自分の力を発揮したいけど。」
「佐々木さんもチーム赤澤に登録する?
 受験向けの学習ばかりでなく視野が広がる、自分は学習効率を上げる助言を貰って時間の使い方を見直したよ。」
「私でも参加出来るの?」
「今はメンバーの紹介という形だからね。」
「藤本くんに紹介して貰えるのならお願いしたいわ、受験の方は余裕の有るとこを狙ってるから。」
「ねえ、もし登録したら何をするの?」
「まずは、省吾リーダーの主張に触れて考える事、勿論マイペースでね。」
「そっか、特別縛られるとかは無いのね。」
「ああ、その辺りは自由なんだ。」
「縛って欲しかったら俺が縛ってやろうか?」
「あなたは黙ってて!」
「藤本くん、私もお願い、教育を考えていたけど、視野が狭かった気がする、既存のシステムに囚われていないのよね、チーム赤澤は。」
「うん、宮田さん、今の学校制度を前提にして議論したところで、本当に新しく効果的な教育制度は出て来ないと思うんだ。」
「大学受験に取り組んでいてたまに思うのよね。
 世界史とかさ、入試が終わったら頭から消去しても全く問題ないでしょ、そりゃあ、そこから学ぶものは有るのだろうし役に立つことが有るのかも知れないけど、所詮世界史の目次みたいなことでしかなくて。」
「暗記能力を試されているとしても、人の能力は多岐に渡るよな、藤本、俺はこいつと違って真面目に考えてる、俺もチーム赤澤に参加させてくれないか?」
「そうだな、大学はまだ夏休み、時間を合わせて自分の担当者と相談する、何時が良いかな…。」

 クラスの仲間を巻き込めるのは嬉しい、由香のクラスと交流出来るかも知れない。
 参加を希望しているのは大学受験に向けて比較的余裕の有る真面目な連中ばかりだから安心して紹介出来る。
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