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藤本慎吾-02 [F組三国志-06]

 チーム赤澤に登録してから、時間の使い方が変わりつつ有る。
 妹から省吾リーダーの指導内容を教えて貰い参考にしているだけでなく、大学生たちが自分の成績や模試の結果、それと自分の学習時間配分等を分析し、手抜き出来る部分を指摘してくれたのだ。
 その半面、高三の今だから出来ること、という課題を課せられはしたが、大学受験だけに意識を集中しているより良いと思っている。
 今思うと、夏休み前の自分は大学に対して偏った見方をし視野が狭くなっていた。
 一年生の学習会に参加するなんて以前は考えられない事だったが、心に余裕が出来たのと最近大人びて来た妹が兄妹の時間を大切にしたいとさり気なくアピールして来て…。
 まあ、学習会は真面目なプログロム、大学生も来るが数学の質問を受ける立場として参加することにした…。

「藤本先輩、ここが良く分からないのです。」
「ああ、これはね…、でもここは高二の範囲じゃないのかな?」
「そうですけど、夏休みを利用して先の内容に挑戦しています。
 省吾さまから、数学は頭のトレーニングでもあると教えられていますので、少し難しい内容にも挑戦しているのです。」
「うん、その考え方は間違って無いと思うよ、それならヒントだけにしておくね…。」

 自分も数学中心にずっと予習中心の学習をして来て、それが模試の結果に反映されていると思う。
 後輩達が学習と向き合う姿勢は頼もしく嬉しい。
 そう言えば、妹以外の高一と話す機会は今までほとんど無かった。
 省吾リーダーは、違う年齢層の人とも接することを勧めていて、話を聞いた時は年上を意識したが、年下と接するのも新鮮、妹以外の子に助言するのも面白いと感じる、今まで暇な時はパソコンと向き合ってることが多かったから。
 由香はそんなことも意識して学習会に自分を誘ったのだろう、出来の良い妹がいると同級生の女子とは…、ちっちゃい頃、お兄ちゃんのお嫁さんになるとか言ってくれてたな…。

「藤本先輩って理系ですよね、理数系クラスってどんな感じなのです?」

 おっと、質問タイムが始まってた…。

「どんなと言われてもね、文系の実態を知らないからどう答えて良いのか分からないよ。」
「国公立志望が多いのですよね。」
「ああ、志望校を絞って真面目に取り組んでいる人ばかりだから学習環境は悪くない。
 ただね、チーム赤澤に関わり始めてからクラスメイトの事を思い返しているのだけど、大学合格を目標にしていて、その先をイメージしてなさそうな奴がいてね。」
「やはりそうですか、私もそうならないようにと考えてはいるのですが、まだ明確な目標がないのです、藤本先輩がプログラミングに興味を持たれたのには何か切っ掛けが有ったのですか?」
「そうだね、始めはゲームかな、小学生の頃ゲームをしている時にね、これはゲームを作った人に作業をさせられているだけだと思ったんだ。
 それからゲームを作る事に興味が行ってね。
 うちの親父は小学六年生の自分にハイスペックなパソコンを用意してくれる人だったことも有り、のめり込んで行ったという感じだよ。」
「へ~、そういうの私はないです。」
「今、興味を持っていることはないの?」
「チーム赤澤に参加してから、一気に視野が広がり、今は色々な事を知り、考えたいとは思っています、社会問題から政治経済、彼氏の作り方まで。」
「はは、由香もそんな感じなのかな?」
「いえいえ、由香ほど貪欲ではないです、まあ彼氏をどうこうという話を除いてですが。」
「そうよね、由香は、そういう話になるといつの間にかお兄さまの自慢話になって、ブラザーコンプレックス、ブラコンですよね。」
「えっ、そうなのか。」
「でも納得しました、先輩は優しくて…。」

 それから暫く返答に窮する質問を受け…、由香は困ってる自分を遠くから見てるだけ。
 とにかく、級友からシスコンと言われていることは絶対秘密にしておこうと決意した。
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