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藤本慎吾-01 [F組三国志-06]

 妹の由香に誘われ、チーム赤澤の保護者向け説明会に行ってから自分の環境が変わった。
 その場で勧められチーム赤澤に登録した後、大学生の研究対象となったのだ。
 如何に効率よく大学受験で成果を上げられるか、前回受けた模試の結果が悪くなかったことから、安心して助言出来ると言われ、大学入試を研究してるチームのサポートを受ける事に。
 自分の学習スタイルを話し、それに対しての助言を貰いながら学習効率のアップを考えている。
 省吾リーダーが紹介してくれた第一志望の学部に通う先輩からは、入学後を意識した学習を勧められたが、彼とはプログラミングに関する話も出来て楽しく、自分が例え受験に失敗したとしても、情報を交換し続けスキルアップに協力すると約束してくれた。
 気を緩めさえしなければ普通に合格出来るだろうとも話してくれたが、それは実際に合格した人の言葉だけに心強い。

「お兄ちゃん、大学の先輩と話してどうだった?」
「そうだな、省吾リーダーの考えが浸透してると感じたよ。
 由香の一年F組では学習に対する取り組み方を見直してるのだろ。」
「うん、お兄ちゃんみたいに明確な目標を持っている人は多くなくて、まあ、私もだけど漠然と大学入試を捉えてた人達は色々考えてるわ、大学の在り方も含めてね。」
「俺も大学の事を違う角度から考え始めてるよ。
 第一志望に合格出来なかったとしても、そこと同等の研究環境が有れば良い訳だろ、プログラミングなんて、ネット回線さえ有れば、田舎に住んでたって出来る筈の作業なんだ。
 大学入試に対する省吾リーダーの考え方は間違ってないと思う。
 学校制度を大きく改革して行くのは難しいだろうけどな。」
「少しずつ、でも動かなかったら進まないのよね。」
「ああ、まずは情報交換をする事に問題の無い分野で、大学間の交流をもっと密に出来るシステムを構築はしたいと、工学部の先輩とも話しているよ。」
「インターネットの活用ということなの?」
「ネット環境を生かし切れてないと省吾リーダーが話してたろ。
 俺も幾つか提案してみたよ。」
「どんな?」
「高校教師でもピンキリじゃないか、俺たちの高校でさえね、だったら受けたくなる教師の授業を録画して、ネット上にデータベースとして整理し、誰でも閲覧出来る様にしたらどうだ?」
「あっ、それは有りかも、数学で私たちが省吾さまに頼ったのは、担当教師の授業が分かりにくかったからなの、彼の授業のどこに問題が有ったのかは、もう把握出来たけどね。」
「はは、先生にはそれを伝えたのか?」
「さすがに言いにくいでしょ、それは。」
「九月からもそのままで良いのか?」
「大丈夫よ、私たちは受け身の学習を卒業しているからね。
 先生の授業を受けなくても問題ないわ。」
「授業時間が無駄にならないか?」
「ちょっと動きが有ってね、校長先生とかが、チーム赤澤に登録するという話が出てるのよ、定期テストで一生徒の活躍によりF組が他クラスを大きく引き離したという結果を、進学校としては無視出来ないでしょ。
 省吾さまの計画通り、無意味な授業は減らせると思うわ。」
「一年生のクラス分けは偏らないようにした筈だからな。
 まあ、由香が学年上位になって俺も嬉しかったよ、うちのクラスの連中の中には由香に注目してる野郎が少なからずいてな。」
「へ~、お兄ちゃんに恥をかかせなくて良かったのかしら、お兄ちゃんはずっと上位でしょ。」
「地元との国立大学を目指しているからな。
 で、野郎連中の中には可愛い妹を紹介しろという奴がいたが、却下しておいた。」
「却下なのね、まあ、お兄ちゃんレベルの人が多くないことは分かってるから問題ないのだけど。」
「はは、この前、哲平と呼んで下さいと話してた彼や、嶋くんの方が魅力的だと思うよ。」
「お兄ちゃんの目にもそう映ったんだ、でも彼らにはね…。」
「由香は出遅れたのか?」
「そういう感じじゃないけど、基準がお兄ちゃんだから難しいのよ、まだ焦ってないし。
 やっぱ年上が良いかな。」
「そうか、チーム赤澤なら優秀な先輩との出会いも考えられる、俺たちの視野を広げてくれそうな人は少なくないだろう、人と出会う場でも有るからな。」
「うん、でも、お兄ちゃんに彼女が出来るまではいいかな…。」

 い、妹よ、そんなに甘えた表情で俺を見るんじゃない。
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