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藤本由香-02 [F組三国志-06]

 夏休みの予定はチーム赤澤に参加した事で大きく変わった。
 高校入学当初は思ってもいなかったことだが、母は…。

「由香、施設でのボランティアはどうだったの?」
「そうね、今日は無難にこなしたという感じ、中学生達とはまだ距離が有るからね。
 まあ、私みたいに恵まれた環境で育って来た子達ではないから、教えられた通り、聞き役を心掛けながら学習の手伝いが出来ればという感じなのだけど。」
「でも、ボランティア活動に参加なんてビックリした、高校受験を終えてもっと羽を伸ばすのかと思っていたら学習にも熱心だったし。」
「私もよ、でも人に強要されての事では無くクラスの仲間と一緒だからね。
 学習は脳みそを使うスポーツ感覚でさ。」
「由香にそう思わせてしまう省吾さまと早くお会いしたいわ。」
「ふふ、チーム赤澤の保護者説明会には行くのでしょ。」
「そうだけど、天才高校生に興味深々なのよ。
 案内によると、社長さんや大学教授とかも参加されているのでしょ。」
「ええ、大学生のサブリーダーが言うには、社会に対して閉塞感を感じてた人達が、省吾さまと出会って共に歩みたいと感じたのだとか。」
「う~ん、由香はどうなの、彼氏にしたいとか?」
「はは、美咲さまがいるからね、女子大生の中には省吾さまの遺伝子を頂ければ多くを望まないという人もいるけど。」
「それは…。」
「結婚に失敗して離婚するぐらいなら、始めからシングルマザーの道を選ぶのも有りだとか。
 哺乳類の中でオスが育児に関わる種は多くないそうで、人間は多様な価値観を持ち、社会の構造も変化しつつ有るのだから、経済的に自立出来れば、なんて言ってたけど。」
「由香はどう思ってるの?」
「普通に結婚したいわよ、でも、離婚率の高さとか…、経済的基盤が無いのに若くして結婚、子どもが出来て離婚、シングルマザーとなって貧困生活という道は歩みたくないわ。」
「そっか、そんなことを考える年頃になったのね。」
「チーム赤澤に参加して、社会問題に目を向ける事を意識し始めたかな、社会問題は決して他人事では無いでしょ。」
「頼もしいわね。」
「お母さんはお父さんとどうなの、離婚とか考えてない?」
「そうね、今まで全く無かったと言えば嘘になるけど、お父さんはチーム赤澤への参加を考える様な人でしょ。
 由香が素敵な高校生になってくれ我が家の話題が豊富になり、あなたのお父さんはとても素敵な人だと思い直しているのよ。」
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