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藤本由香-01 [F組三国志-06]

「世界で一番素敵なクラス?」
「ええ、そうよ。」
「それって…。」
「まあ、言った者勝ちなのだけど、私達のクラスには凄い人がいてね。
 高校一年生だけど大学生を中心としたチームのリーダーなの。」
「えっ、どういう事?」
「ここにボランティアで来てる大学生の中にもチームメンバーが居るのよ。
 そうね、秋頃には活動内容をまとめての発表が有ると思う。
 チーム赤澤という言葉を目にしたら注目してね。」
「はい。」
「どんなチームかと言うと…。

 児童養護施設の中学生にも私達のことを知って欲しいと思いチーム赤澤について簡単に説明させて貰った。

 夏休み、私とあやかはチーム赤澤を通して募集の有った児童養護施設のボランティアをすることに。
 大学生が中心の活動なのだけど、中学生の学習を手伝ったり話し相手になったりするのは、高一の方が年齢が近いという事で、中学生の悩み、心配事を自然な形で話して貰えるかも知れないと言われての参加、その一回目を無事終えて…。

「由香、省吾さまと出会ってなかったらボランティア活動に参加なんて、なかったと思わない?」
「そうよね、チーム赤澤では、視野を広げる、と言う事を重視していて、登録してなかったら社会問題なんて考えもしなかったでしょうね。
 チーム赤澤の人からは考える能力が有るのに社会問題を知ろうとせず考えもしてないと言われて…。
 それまで、自分達の社会という実感が全然なかったから色々考えたわ。」
「うん、社会的弱者と言われも良く分からなかったものね。」
「あやかは初めての学習会で緊張しなかった?」
「緊張したわ、でも事前研修で彼らの事を教えられて、話す時に配慮は必要だけど弟や妹に接すると思って仲良くなりたいと、初めてにしては上出来だったでしょ。」
「次回以降、気を緩めて彼等を傷つけない様に気を付けないとね。」
「うん、聞き役に徹するつもり、でも、森くんが来てたのは、少し驚いたな。」
「彼は随分変わったね、今日は自分でも語ってたし、もう大丈夫だと思う、家庭に少し問題が有るそうだから、ある意味社会的弱者だったのかも。」
「そうね。」
「岡崎をいじめてた頃でも女子には何もしなかったじゃない、まあ、頭は悪く無いみたいだから。」
「また来るのかな?」
「どうかしら、ただ…、今日の学習時間は彼がいたから少し緊張感が有った様な気がしたのだけど。」
「あっ、それは有るかも、身長が高いのと表情の硬さが良い感じにプレッシャーを与えていたわね。
 大学生は優しくしようとして、逆になめられてた、高一の私たちの方が逆らいにくいみたいでスムーズだったよね。」
「森くんは、女の子達にとって身近にはいないタイプみたいで、数学を教えて貰って喜んでた、彼が人に教えてるとこ初めて見たけどポイントをしっかり押さえていて、少し見直したわ。
 彼女たちが憧れても不思議ではないと思う。」
「それだけの能力が有ったのに変な方向に行きかけていたのよね、F組でなかったらどうなっていたのかしら。」

 ボランティアとしての参加だったけど、良い経験が出来たと思う、多分、森くんにとっても。
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