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原崎理沙-02 [F組三国志-05]

 嶋くん…、大地さんが隣に座ってる。
 でも、だからって…。
 つかの間の幸せってことかな…。

「ねえ、原崎さん。」
「は、はい。」
「自分でデザインしたものを、って話していたけど、デザインとかやってるの?」
「デザインと言うより、私は手芸をやってるからって今日の参加者に選んで貰えたのです、省吾さまに。」
「手芸?」
「はい、何か関係のある工場かと思っていましたので全然違っていてびっくりでした。
 でも、金属を使ったアート作品のことを思い出しまして。」
「アート作品か…。」
「省吾さまの話しを聞いてたら…、大地さんと一緒に私もお手伝い出来そうです。」
「ありがとう、オーダーメイドの金属装飾なんて、二人から提案されなかったら思いもしなかったよ。」
「道具を持たない素人が簡単に作れるものでは有りませんので。」
「う~ん、そこから工房にまで話が…。
 工場の製品と全く関係ないものを工房から発信していくことで、会社の活性化を図る。
 不用品置き場になってる倉庫の有効利用ということだから了承したけど。」
「あれだけ広い倉庫だと、工房として色々なことが出来そうですね。」
「そうかな?」
「趣味のレベルからお仕事のレベルまで、うまく運営出来れば会社の活性化に繋がると、省吾さまが話してました。」
「チーム赤澤で工房プロジェクトを立ち上げ、初期投資の問題をクリア出来ればってことだったね。
 うちに余力が有れば資金を提供出来たが…、まずは倉庫内の不用品を全部片付けて、倉庫を使える状態にすることが私の役目ということだが。
 ねえ、嶋くん、倉庫の不用品は売れるのだろうか?」
「はい、業者へ持ち込めばそれなりの金額になると思います。
 そうだ、自分、うちと関係の有るリサイクル会社の人と顔見知りです。
 資源ゴミを持ち込む時、トラックに乗せて貰ってましたから。
 行くと、お菓子を貰えたりして…、工場からもそんなに遠くないです、一度その会社の人に見て貰ってはどうでしょう?
 それにしても、社長、ずいぶん溜め込みましたね。」
「はは、昔は製品を大量に作っておいて倉庫に保管、注文に応じて出荷していたけど、最近は必要な物を必要なだけ、という生産方式に変わってきたからね、倉庫に余裕が出来たら、取り敢えずいらないものは倉庫へって感じになってしまってた。」
「うちは倉庫に余裕がないので考えられないことです。」
「そうか…。」
「持ち込むにしても、先方の一番都合の良い所へ持ち込めば、より高値で引き取って貰えるみたいです。
 従業員の方に余裕が有るのなら、材質の違う物をバラしておくと先方の手間が減ることになって、やはり高値となります。」
「ずいぶん詳しいね。」
「はは、話し好きのおじさんがいまして、色々教えてくれたのです。」
「紹介して貰えるかな?」
「はい。」

 そっか、あれだけの量があると、ちょっとしたことで、ずいぶん金額に差が出るのね。
 片付けるの大変そうだけど。
 大地さんって、普通に社長と話してる、なんか大人だよなぁ~。
 大地さんが説明して、社長がお願いしてる。
 あ~、私なんかじゃ相手にして貰えないのかな…。
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