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舘内亜美-02 [F組三国志-04]

「これが、美咲さまから預かってきた、種目別希望者リストだよ。」
「徹、確かにバスケが多いな。」
「ね、ねえ男子のバスケってどんな感じなの淳一さん…、えっと、淳一さんって呼んでも良いよね。」
「ああ構わないよ。」
「はは、亜美ったら黒川くんにすごく積極的じゃない?」
「えっ、それは…、ほら、ちさとからの提案もあったじゃない。
 林くんも、美咲さまって呼んでるし。」
「あらっ、徹さんって呼ばないの?」
「はは、淳一はどうなんだ?
 お前は、鈍感じゃないだろ。」
「えっと亜美さんって呼べば良いのかな。」
「出来たら、亜美って…。」
「うん。」
「亜美ったら大胆ね。」
「えっ、え~っと、今まで一緒のチームでやって来て…、優しくてね、淳一さんは…。」
「おいおい、俺たちの前で告ってるようなもんだぞ、その発言。」
「俺も、亜美のこと真面目で明るくて…、いいなって思ってる、話してて楽しいし。」
「あらっ、いきなりカップル成立?」
「俺らの前でか? 
 う~ん、淳一に先越されたって気分だな。
「ふふ、徹くんも人気がない訳じゃないからね。」
「ほんと、加藤さん?」
「それじゃあだめ、ちゃんと朋美って呼んでくんなきゃ、クラスの仲間でしょ。」
「お、おう。」
「ふふ、お二人だけの時間を差し上げたいけど、今はやることが有りますからね。
 それで、男子だとバスケは誰が上手なの?」
「えっとね、今回は出場出来ないバスケ部以外で一番上手いのは哲平。
 シュートの成功率が高いのは、お師匠さまと森かな。」
「そうだな、動き回れて良いパスを出せるのは嶋大地と露木のあたりか。
 バスケは勝ちに行きたいから、みんな納得してくれるのじゃないか、なあ徹。」
「ああ、俺も淳一もバスケ希望だったから、とりあえず二人は納得ってことだね。」
「バレーは?」
「まだ、体育でやってなくてさ、だから皆の力量は全く分からないんだ。」
「多分、哲平は上手いだろうけど、バスケと両方は駄目だからな。」
「球技大会までにはクラスの自由になる時間が有るのよね?」
「うん。」
「勉強ばかりでなまった体をほぐす時間を作って貰い、そこでバレーとか出来ないかしら?」
「試合形式で無くとも円を作ってトスやパスで繋げてみるだけでも分かりそうだね、後で相談だな。
 女子の方はどんな感じ?」
「バスケは纐纈榛香がダントツ、やっぱダンスで鍛えてるってことかしら。」
「シュートの成功率では麻里子かな。」
「へ~。」
「彼女は、ここぞって時の集中力が違うのよ。」
「後は溝口里美とか、でもこの表見ると、バスケそんなにうまくない人の希望が多い気がする、ねえ朋美。」
「だって、バレーって手が痛くなるし、ドッジは当たったら痛いし。」
「女子バスケ人気の秘密は痛くないからってことか。」
「はは、ねえ、斉藤さんってどうなの? 体格良いけど。」
「ドッジ向きなんじゃない。」
「そうね、バスケのパスがどこへ飛んで行くのか分からなくてパスが通らないという欠点、ドッジでは凄い武器かも。」
「でも本人はバスケ希望だよ。」
「徹くんから話せば了承してくれるのじゃないかな。」
「えっ?」
「ふふ、まあ、そういうことよ。」
「もしかして、淳一は亜美さんで、俺は斉藤さんってこと?」
「不満そうね。」
「だってさ…。」
「はは、じゃあバスケのメンバーはみんなにお願いして調整する、バレーの方は、みんなでやってみてからってことで良いかな。」
「ええ、残った人はドッジボールということになるのね。
 早めに決めて練習時間を作りましょ。」
「後、俺たちのやることは?」
「スケジュール確認して応援の調整もしとかない?」
「そうだね、応援でもF組の団結をアピールしたいわ。」
「今日中にやれる事をやったら、そんなことも含めて各自考えて来て明日また話し合うってことでどう?」
「了解。」
「じゃあ徹くん行くわよ。」
「行くわよって?」
「お二人の時間を作って上げないと。」
「あっ、そうか。」
「私達で調整作業を始めましょ、斉藤さんは徹くんが担当だからね。」
「かんべんしてよ~。」

 はは、林くんあせってる。
 いや、そんな事より淳一さん…、我ながら大胆なことをしてしまった…。

「ねえ、亜美、ほんとに俺で良いのか?」
「は、はい…、えっと、ごめんなさい…、何か私…、でも前からで…、淳一さんが、美咲さまに気を使ったりしてるの見てたら、何かもっと一緒にって気になって…、えっと、その~、テストも終わって…、あたし何言ってんだろ…、やっぱりご迷惑でしたか…。」
「とんでもない、亜美と一緒に勉強してて楽しかったし。」
「わ、私もです。」
「あ、あのさ、演奏のことだけど。」
「はい。」
「みんなの前で演奏するまでに時間が取れたら、合わせておきたいんだ、だめなら俺の演奏を録音して渡そうか?」
「は、はい、曲は?」
「サンサーンスの白鳥でどうかな?」
「わ~、良いですね~、私も好きです…、演奏したことはないけど、知ってる曲なら早く仕上げることが出来ます…。
 淳一さんは普段どこで練習してるのですか?」
「家で…、そうだ、うちに来る? 
 ピアノも有るからさ。」
「行きたいです。」
「う~ん、でも女の子を一人だけ呼ぶのは、まだ恥ずかしいな…。」
「誰か誘ってみます。」
「うん、えっと…、楽譜はどうしよう?」
「帰りに買いに行きます、それぐらいのお金は持っていますから。」
「一緒に行こうか。」
「うん、嬉しい。」
「亜美ってさ。」
「なあに?」
「嬉しい時は嬉しいってはっきり言うタイプだよね。」
「へへ、単純なんです、私。」
「いや、亜美の良いところだと思う。」
「そう言って下さる淳一さん、素敵です。」
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