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星屋和彦-04 [F組三国志-03]

「星屋。」
「あっ、はい、お師匠さま、何でしょう?」
「今日授業後予定ある?」
「えっと…。」

 予定…、あると言えばある。
 本屋へ行って、今日発売の雑誌を買って、それから今度発売されるゲームソフトの予約、レンタルショップでDVDを借りて…。
 でも、今日じゃなくても良いことばかりだ。

「特には無いですが。」
「じゃあ、スガキヤでラーメンでも食ってかない、おごるからさ。」
「えっ、そ、そんな…、悪いです。」
「なんだ、星屋は俺たちの仲間になりたくないの?」
「ま、まさか…、なりたいです…。」
「だったら、遠慮しないでおごられちゃえよ。
 仲間になる、お近づきの印ってとこだからさ。」
「はあ…。」
「変に遠慮してたら仲間にはなれないからね。」
「は、はい。」
「昨日話せなかったことが有るんだ。」
「はい。」
「ただ、時間は美咲の都合になっちゃうけど良い?」
「も、もちろんです。」
「委員長さまは結構お忙しいみたいでね、じゃ、授業後な。」
「はい。」

 仲間か…、昨日お師匠さまから言われるまで、あまり考えたことなかった。
 元気良く外で遊ぶ子ではなかったから、友達と呼べる子も少なかったし…。
 中学のクラスメートには多少いじめられもしてたから、自分の世界に独りでいる方が気楽。
 仲間か…、姉御とも仲間になれるのかな…。
 姉御は少し気が強そうだけど可愛い。
 ちょっとどきどきしながら姉御って呼んで話しかけたら、ちゃんと応えてくれた。
 仲間か…。
 お師匠さまとも…。

 キンコンカンコ~ン♪  キンコンカンコ~ン♪

 授業が終わって、近くのショッピングモールへ向かう。

「お師匠さま、秋山さんのことですが。」
「なに?」
「美咲さまとお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「美咲さまか…、ああ、悪くないかな、でも麻里子みたいには応えられないかも。」
「それでもいいんです。」
「イメージとしてはどんな感じで?」
「お師匠さまの奥方さまで、自分はお師匠さまの門下生。」
「なるほどな…、ふふ、そうだ、その路線でやってみよう、美咲にも話しておくよ。」
「はい。」

 スガキヤについた。
 安くてうまい…。

「星屋は何にする?」
「ラーメンで。」
「じゃあ特製ラーメンでいい?」
「えっ、普通のラーメンで…。」
「遠慮するなよ。」
「では…。」

「ねえ、俺の門下生と、姉御の子分とは同じ人物なの?」
「同じでは無理がありそうです。」
「じゃあ、麻里子は星屋って呼んでるから、俺たちは和彦って呼べば良いかな?」
「は、はい…。」
「じゃあ和彦、まずは報告だ。」
「はい、お師匠さま。」
「この前のテスト団体戦、合計点を見ると僅差だったよな。」
「一点差でしたからね。」
「でね、二回目以降は採点方法を複雑にしようと思って、ちょっと違う計算をしてみたんだ。
 前回の得点と比較する形でね。
 そしたらチーム麻里子はダントツの一位になったんだよ。」
「どういうことです?」
「単純に、一回前のテスト結果をチームに当てはめて計算してみたら、チーム麻里子は他の二チームと比べてめちゃ点の低い最下位だったのさ。」
「ということは?」
「得点アップ率を考えたら、チーム麻里子はすごくがんばったと言えるだろうな。
 まだ案の段階なんだけど、二回目以降の小テスト団体戦は単純にテストの平均点で競うだけでなく、
満点だった人には二ポイント、第一回より点数を一点上げた人は一ポイント、二点上げた人には二ポイント、三点上げた人は三ポイント、だから第一回より三点上げて満点だったら五ポイント獲得。
 変わらなかった人はゼロポイント、点数を一点下げた人はマイナス一ポイント、点数を二点下げた人はマイナス二ポイントとし、チームごとの平均を出して、その結果でも競ったらと思ってね。
 平均点では二位でもポイントでは一位ということも有るだろう。
 そうすると、同じ得点でも、第一回より点を上げた人はチームに貢献したことになるし、点を下げた人はチームの足を引っ張ったということになって参加者の緊張感が増すと思うんだ。」
「なるほど、九点十点が取れない人でもチームに貢献出来るということですね。」
「うん、こんな話しをみんなとしていた時に、チーム麻里子の得点アップはどうして? ってことになってさ。
 そしたら、麻里子がね、岡崎、平岩、田中といったやっかいそうな連中を星屋が面倒みてくれたことが大きかったって。」
「えっ、姉御が…。」
「ああ、人は見かけによらないとも言ってたけどね。」

 はっきり言って人から認めてもらえることなんて…。
 自分のことを認めてくれてたんだ、姉御が。
 姉御…、一生ついていきます…。
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